11月も末になり 中山間地にある夫の実家の周りには
おびただしいほどの 山から風に吹かれて落ちた
杉の枯れ枝や落ち葉が散らばっている
それらを集めて 火をつけた
炎を見つめながら 私は
春からの花壇作りを思い起こす
3月一杯で仕事を退職した私は
4月から週に1、2回 高齢で何も
出来なくなった義父の家に行って
家事をした
特に気になっていたのは
草ボーボーの家の周り
まずは草取りに励み
草を取った後に 花を植えた
一番最初に植えたのは ガザニア
どんな場所でも 繁殖していくたくましい植物かと思いきや
最初に植えたガザニアは すべて枯れた
場所を移して 新たに植えたものは健在
種が落ちて 小さなガザニアも育ちつつある
ありふれた花だと思っていた マリーゴールド
自分で育ててみると 好きな花になった
地面をどんどん這って 陣地を広げたポーチュラカ
義父が「この花は外側から花が咲く」と教えてくれた
それまで ほとんど家の中で
テレビばかり見ていた 義父は
私が植えた花が 枯れてしまわないようにと
夏の間 朝に夕に
水やりをしてくれるようになっていた
花をめぐって 義父との会話も弾んだ
私は 独り暮らしの義父のためにと
花を植えた
義父は 花の好きな嫁のためにと
花の管理をしてくれた
このジニア(百日草)は 一度枯れてしまった
それを義父が「根腐れしている 土地の痩せた所に植え直すといい」
と言ったので 植え替えると
生き返って こんなに花を咲かせてくれた
長年 農業の経験を積んで来た義父の言葉は
的確だった
たった1本植えた 宿根アサガオは
ツルを長く四方八方に伸ばし
葉を茂らせたが なかなか花が咲かなかった
9月下旬から やっと花を咲かせ始めた
その花は アサガオなのに
一日中 しぼまなかった
3種類 菊も植えた
丈は短いが たくさんの花を咲かせた
そんな時 奥山に
厳しい冷え込みの朝が訪れ
霜が降った
それで ほとんどの花は
あっけなく全滅してしまった
残ったのは 寒さに強い菊とガザニアと
パンジーだけ
それは 逆らえない自然の法則
花とバトンタッチしたかのように
今度は 燃え上がるような
紅葉の時が訪れた
けれど それも一時のこと
次は 落葉が待っている
義父と共に 春からたくさんの花を見た
10月から また仕事を始めたので
今は花作りも 以前ほど
一生懸命には出来ないが
来年も義父と共に
また花に楽しませてもらおう
でも 本当は
野の花が 一番好きだ
あるがままに 誰に見られようともせずに
精一杯 命を輝かせている野の花
踏まれても 風に倒されても
また次の日には すっくと立ち上がる
そんな野の花に 私は憧れている