https://www.youtube.com/watch?v=HDIjajaXHaA
カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスをまっている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝返りをうつとき
ローマの少年は柱頭を染める朝陽にウインクする
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交代で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計がなっている
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受け止めた証拠なのだ by 谷川俊太郎

いつ読んでも 生きることのすばらしさと
地球上に生きている すべての人々が
いろんなふうに
同じ時を生きている・・・とうれしくなる詩
この頃 この詩を書いた
谷川俊太郎さんのエッセイ集を
谷川俊太郎さんのエッセイ集を
文章の見事さに いつもいつも感動しながら読んでいる
文章の奥には 深く豊かな哲学の海が広がっている
谷川俊太郎「ひとり暮らし」より
目が顔に出会う、からだがからだに出会う、心が心に出会う、
ことばにすれば3つの出会いとも思われかねない出会いというものも、
実はひとつだ。現世で手に触れることのできるのはからだだけで
あるとしても、ことばをもつことのできた人の心は、この世ならぬもの
までを日常の中にまざまざと描き出す。人間は他者のからだ・心を
媒介にして、自らの死を超えて宇宙に恋することができる。どんなに
洗練された恋愛心理の奥にも、荒々しい自然がひそんでいるのを
忘れることはできない。