天空の城に立つ   竹田城跡にて | nagarenotokiのブログ

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四季折々、自然の姿に感じること

  
 

https://www.youtube.com/watch?v=PsVc6uEjC1E


空に限りなく近いあの場所に
立ったのは いったいいつの事だっただろう
そこは まさに天空の城
俗世とは 切り離された空間だった

そこへの道のりは 
確かに長かった
登っても 登っても
石段混じりの 土の道は続く
まるで空への坂道のようだ

なぜこんなにも 高い場所に
城を築かねばならなかったのか
石垣の石を 運び上げるのも
大変な作業だった事だろう
家老や武士は 毎日の出仕も
ひと苦労だったに違いない 

  
  
突然 視界が開けた
そこには 草原が広がるばかり
城は何百年も前に 
燃え盛る炎に 焼かれた
草が 悲しいほど
目に沁みた
私には そこに城が見えた

雲海の上に立つ 巨大な竹田城
武士道が息づく 厳粛な世界
城に火の手が上がった時
大勢の武士たちが 城のあるじと共に
昇魂していったこの地

くだってから もう一度
遥かな高みを見上げると
鎧兜を身に着けた武士たちが
じっと こちらを見下ろしている姿があった
魂となった彼らは 日本の行く末を
天空の城から 見下ろしているのだった
憂い 嘆きながらも
一筋の希望は捨てずに

私の一瞬見た幻 
それは 秋の陽射しが見せた
悪戯だったのかもしれない 

  
 10年前に、竹田城跡を訪れた時の印象を書いてみました。