土に向かいて  | nagarenotokiのブログ

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四季折々、自然の姿に感じること

https://www.youtube.com/watch?v=MlII_Nf05T4



よく晴れた日曜日 
夫も私もお休み
「大山にワラビ採りに行こうよ」
「滝山公園の山ツツジも満開の頃だね」
でも 夫は首を縦には振らない
「帰って 田起こしするぞ
 お前も手伝え」

内心しぶしぶだが 
ついて行く
家から1時間弱 ひたすら山を越える
夫の生まれた地へと 車を走らせる
新緑が目にしみる
一方 夫の生地は
まだ 木々は裸木のまま
桜も 今が満開
それだけ 寒冷地なのだ

着くとすぐに 夫は作業着に着替えて
トラクターで田を耕す

 

私は割烹前掛けに 持参したスカーフを
姉さんかぶりにして
抜かれぬまま 腐ってしまった大根をクワで掘り起こし
畑に張ってあった 黒いビニールを取り除く
もうヘビが恐いなどとは言っていられない
ミミズの1匹や2匹 クワで切断したからと言って
憐れみをかけている 暇もない
私たちは寒冷な この中山間地で
米を生産し 野菜を育てなければならないのだから

一昨年から 本格的に夫が米作りを始めた
会社の休みを利用して 長男や義弟にも
手伝ってもらっての米作りである
一昨年も 昨年も一等米だった
だが米の収益は 機械の購入費や肥料代で
ほとんど消えてしまう
今年はその上に 高額の草刈機まで
夫が勝手に買っていた 
今からわかっている 米の収益はマイナスとなる
それでも 作らなければならない
私たちの 生きる糧を

ウグイスの澄んだ鳴き声と
カエルの声 
山から湧き出る水の音
自然の音を聞きながら
汗を流して 働いた
 菜の花 この記念写真の後抜き取る