先日 町内会の新年会で
マイクロバスに乗って 山奥の鄙びた温泉に行った
まだ山や田には 残雪がたくさんあった
雪を見ながら温泉に入った
「イノシシやシカでも出そうだね」
「こっちのジェットバスは 気持ちがいいよ」
日頃 あまり顔を合わせることもない
近所の奥さんたちと 和気藹々の裸のつき合い
外はどんより曇っていたが
突然 まばゆく陽が射した
目の前の泡が 陽に照らされて
キラキラと輝きを放った
気持ちの良い入浴だった
その後 お昼のごちそうを前にして
重要な話し合い
町内でも幅を利かせているおじさんが
「Kさんは溝掃除にも公民館掃除にも あまり出ない。
それならひとつ 来年度の役員になってもらおうじゃないか」
とKさんを前にして言い出す
結局それは流れたが 町内会の恐さに身震いした
その後の会食 私は席にあぶれて
ちょっと苦手なおばさんの隣になった
そのおばさんからの 最初の言葉に
ズキンと痛みを感じた
こんな人なのだと 考えようとしたが
ちょっとしょげて 温泉に入っていた時の
楽しい気分は戻らなかった
その後 カラオケ大会となって
おもしろいおじさんやおばさんが
歌い、踊って楽しそうだった
私は顔だけ笑って 内心は重くなっていた
たかが町内会 されど町内会
暗黙のしきたりのような わけのわからないものに
がんじがらめに縛られている
葬儀の段取り 町内会長の決め方
町内のやり方にそぐわないと
大問題に発展する
それをおもしろがって 煽る人もいたりする
政治もなかなか まとまらないはずだ
みんな違う脳を持っている
価値観も道徳観も ものごとの捉え方も
1人として 同じ人はいないのだ
おべんちゃらに社交辞令
本音と建て前の使い分け
人間と人間の つき合うことの難しさ
複雑で難解で
頭が痛くなりそうだ
町内会から解放された後
私はポポと 野に出た
水仙の花や夕景色にやっと
心がなごんだひとときを過ごした