よれよれの九九表
最近入塾してくださったお子様の話です。
入塾前に、自宅や習い事で使い古した九九表。
やわらかいクリアファイルに入ったその九九表。
そんな九九表を持参した新入塾生へ、
「ここにもこんな下敷あるよ?どっちがいい?」
と聞いてみました。
明らかに当塾の目新しい九九下敷きの方がきれいではあります。でも、彼が選んだのは、使い古したよれよれの九九表です。
何度も何度も九九を覚え九九を確認してきたであろうその使い古した九九表。
彼の九九は、まだまだ完璧にはほど遠い。
これからも続く九九お稽古の一旦を担う九九表に、彼の選択は、これまでの九九の取り組みの跡形多い「使い古した九九表」でした。
何でも新しければ良いと言うものではありません。九九表の素材の違いもありますが、新しい九九下敷きは要らないと言う彼に、不完全ではあっても、これまでの九九取り組みの積み重ねへの愛着を感じてなりませんでした。
九九表がよれよれなのは、彼の取り組みの時間と、彼に寄り添ってきた九九表の時間の長さの証でもあります。それを大切に思える彼に、何かほっこりしたものを感じてなりませんでした。
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