昔の上原先生の道場の聖道館には門弟の段位と氏名の木札がズラリと並べてありました。
ある時、私が先生に「道場やぶりって有るんですか? その時はどうするんですか?」と
御聞きしたことが有りました。
その頃は私もだいぶ道場に慣れて先生からは「なんでも訊いていいからな。武の事ならほとんどのことにこたえられるから。」と云われていてので、それを真に受けて質問したのです。
すると先生は「道場やぶりは来るよ。何回も来たことが有るよ。」と即答し色々と話してくださいました。
先生によると道場やぶりが来て相手をコテンパンにした後は聖道館の悪口などは言わなくなるそうですが中には事実を言わない人(嘘)も出てきたので必ずホームビデオで撮影して証拠を残すようにしているのだと仰っていました。
それで、さらに私が「道場やぶりが来たら誰が対戦するんですか?」と御聞きすると
「そうさなぁ 初めは4段くらいから対戦させてから、あとは俺が相手するよ」と答えましたが、どうも先生の様子からすると直ぐにご自分で対応しそうだな、と思いました。
先生にとっては(よくぞやって来たな・・)と、ある意味楽しみだったのかもしれません。笑
上原先生は相手がどれくらいの腕なのか見てみたい・・という武術に対する真摯な気持ちがあったのだと思います。笑
そんな事を上原先生から伺っていた私は自分が道場申請をしたときに、やはり道場やぶりって
来るかもしれないな・・・ と実は思いました。
その頃は未だ門弟はいなくて弟弟子のT君しかいなかったので彼に
「道場やぶりが来たら君が対応してね」と云うとT君が「いえ、いいえ 子(私)さんが
立ってくださいよ。」と云うので
「え~ 私は女だよ。まずは君が立つべきだろう。女を先に立たせるのか?」と言ったら
「いいえ、大丈夫ですよ。短棒一つ持てば子さんならいけますよ。」と云いやがりました。
私は内心(お前なぁ 私が立つ前に相手を少しでも痛めておこうという気持ちは無いのか。
自分の保身ばかり考えたな・・・)と思いましたよ。
あいつは、いざというときは私を前面に立たせる奴だということが、よ~く解りましたよ。笑
しかし、道場を開設するということは道場やぶりが来る、ということを必ず考えておく必要があると先生を見ていて今も思っています。