真剣を使うということ | 本部御殿手  如是我聞 如是我見

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琉球王家の一つだった本部家に秘かに伝承された本部御殿手 多聞館のブログです。
ブログは”私はかくの如く聞き、かくの如く見ました”という内容です。

数日前(3月5日)以下のようなニュースが有りましたね。

 

 

日本刀の真剣が生徒の太ももに当たりけが 居合道指導中 奈良 | NHK | 奈良県

 

 

このニュースをTVで見たとき「ナゼ、高校に真剣を持って行ったのか?」等いろいろと

思いつつ拝見しました。

 

本部御殿手でも居合刀を使いますので、それを持参する時に必ず空港などで検査に引っかかります。

 

先日は2月の古武道大会で演武をして帰るときに模擬の長刀を預け飛行機にまさに搭乗する時に

メンバーが警察官2人の立ち合いで模擬の長刀を開けて見せ一便乗り遅れた~と言うことが有りました。

 

それほど刃物類は模擬とはいえ面倒なのに真剣を許可なしに高校生の指導に使い怪我をさせたということに驚きました。

 

 

本部御殿手では居合刀(模擬刀)を購入したら必ず刀の先端や刃を丸めるように指導しますし

私が上原先生の指導を受けていた頃は購入した居合刀を先生に預けて先生に使ってもらってから自分に手渡され使うようになっていました。

 

恐らく先生が使ってみて安全を確かめ、”ある種の魂” を注入するのかな、と私は思いました。

 

それから先生は時々真剣を使っての相対稽古をつけて下さることも多々ありました。

上原先生は真剣を幾つも所持していました。

 

先生が真剣を使って稽古をつけて下さるときは実は事前に真剣を使うとは話されませんでした。

それは事前に使うことを告げると弟子が緊張して、かえって稽古にならないことがあると思われての事でした。

 

”緊張”によって、かえっていつものような動きが出来なくなるからのようでした。

 

しかし、先生が真剣を使っているときは、なんとなく分かりました。

 

というのは、いつもより間合いが長くとられて、しかも先生が弟子を制するように

(これ以上進まないように)片手で出して制御する姿勢をとられていたからです。

 

それによって、いつもと違うな・・ と思っていると終わってから「今日は斬れるものをもってきた」と話されるのでした。

 

模擬刀である居合刀でさえ空手着を軽く突き破りますし危険なことはあります。

 

ましてや「真剣」だと使い慣れていない人だと相手をケガさせたりする~と上原先生が話しておられました。

 

そして神戸のM氏が弟子の大学生相手に真剣を使って演舞した時に、やはり学生がケガをして

出血したということを話しておられました。

 

弟子や学生は師が真剣を持って対峙する時は(使い慣れているだろうから大丈夫だろう・・)と指導者に対する信頼感が有ると思いますが、んう~ん どうでしょうね?

 

使い慣れている人って戦を体験した人ぐらいではないでしょうか?

 

と、私は思っています。

 

そして上原先生が、いつも「指導者が弟子をケガさせるということは、その指導者が未熟だということだ。」と仰っていたことを思い出し戒めとしています。