花開くタイミングも、どんな花が咲くかも、人によって皆それぞれ | ダウン症長女(11歳)と健常児の息子(9歳)を働きながら育てるママのブログ「ダウン症児は天使じゃありません」

ダウン症長女(11歳)と健常児の息子(9歳)を働きながら育てるママのブログ「ダウン症児は天使じゃありません」

ダウン症児は天使じゃありません。これは、よくダウン症の子は天使、という方がいますが私個人的には「子どもはみんな天使」と思っていて、実際、天使なときもあれば悪魔なときもある、ごく普通の可愛いと子どもです。

ダウン症の娘が生まれてすぐの頃、同じようにダウン症のお子さんを育てている方たちのブログを読み漁っていて、「なぜか幼児期時代でブログの更新が止まってしまっている」という共通点に気づき、不思議に思っていたのですが、いざ自分の子どもが成長して大きくなってくると、子育てブログってあまり書くことがないな〜…と思う。

いい意味でです。

 

ルーティンの繰り返しの日々、その延長に子どもの成長があるという感じで、取り立てて記録しておくべきこともないのだけど。

 

今年のハイライトは、とにかく「娘の運動会」でした。facebookに友人限定で公開した記事をこちらにも転記しておきます。

 

 

【花開くタイミングも、どんな花が咲くかも、人によって皆それぞれ】※備忘録用の長文です

 

昨日は子どもたちの小学校の運動会でした。

娘、支援学級の5年生。

息子、普通学級の3年生。

保育園時代からを通して、正直子どもたちの運動会にはあまりいい思い出がありません。

 

息子…保育園の年長最後の運動会で、組体操に参加出来ず。

娘…保育園年長最後のリレーで、1人で走れず。

運動会=子供のハレ姿を年に1度見る場だと思うのですが、我が家にとっては毎年子どもたちの出来ない姿を見せつけらる場であり、正直参加したくない…運動会なんてなくなって欲しい、そんな気持ちでした。

 

息子は1年生になったとたん、ダンスもかけっこも積極的に参加できるようになったので成長を感じていたけど、娘は1〜4年生までずっと、かけっこは1人で走れず、ダンスは1人だけ毎年棒立ち。

運動会は、普通学級の子たちと一緒の演目に参加するので、毎年ダンスの難易度も上がっており、今年はソーラン節。

学校から配信された練習用動画を見て、隊形移動も複雑だし振り付け自体もスピードが速くて激しいし、5月の時点で思ったのは「これはうちの子には無理…」ということでした。

先生にもそう伝えましたが「学校ではすごく練習を頑張ってるので見守ってあげて欲しい」との答え。

せめて家でも練習させようと思ったけど娘は家では練習したがらずで、まあ今年も本番踊れなくても仕方ないかな、と半分諦めていました。

運動会3日前の全体リハーサルでは「隊形移動は難しかったけど個人のパートの振り付けは一生懸命踊ってましたよ」と連絡帳に書いてあり、それだけでももう十分、でも本番は人前に弱い子なので踊れないかもしれないな…。

 

そして迎えた運動会当日。

前日や当日の朝は「恥ずかしくても頑張る」といつになく、前向きな発言をしていた娘。でも朝、夫が学校に連れて行くと学校が近づくにつれて表情がこわばり、玄関から教室まではお友達に手を引いてもらい渋々入っていったようです。

運動会は学年別に時間帯を分けての開催で、まずは3年生の息子のかけっことダンス。

こちらはもう、何の心配もなく応援できるので、今年もこれだけでも十分かとこの時点でもあまり娘の方の出番には期待していない私。笑

そして、5年生の出番。

 

まずはかけっこ。

娘の走順は5レース目。

順番を待つ間、担任の先生が隣についていてくださり、走れなかったらいつでも並走できる準備をしてくださってるのがわかる。

前の出走が終わり、1コース目に並ぶ娘。先生に促されて、ヨーイのポーズをとっている。「え!パパ、なっちゃんが走るポーズしてる…!!」とこれだけで感動する母。笑

そして、ピストルの音が鳴り、出遅れることなく走り出した。

5年生は100メートルなので、コーナーを回ってゴールまでとかなり距離がある。

親はちょうどコーナーあたりのところでカメラを構えながら「止まるな、走れ…!」と祈る気持ちで見守る。

娘は私達には気づいていない様子だったけど、目の前まで来るとたまらず「なっちゃん、がんばれー!!!」と叫んでいました。

他の5人はとっくにゴールしているので、ダントツのビリッけつ。

それでも最後までスピードをゆるめることなくゴールすることができました。

「走れた!!はじめて最後まで走った〜〜!!」と超感動。

涙が思わずあふれていました。

 

かけっこが終わるとすぐにソーラン節。

事前に大体この辺で踊ります、の位置を教えてくれるのですが、支援学級の子たちは集団の一番後ろの方。支援学級の他のお子さんや先生たちがテントの下で見守る中、そのちょうど前あたりの位置で踊るので「なっちゃん、頑張れ〜!」の声援が飛びます。

支援学級の上級生が、ハッピを着せてくれたりハチマキを巻いてくれたりとかいがいしくお世話をしてくれる様子が微笑ましい。先生、支援員さん、子どもたちを含めて支援学級全体がすごく一体感があって仲良い様子が伝わってきました。

 

そして、本番。

ちゃんと構えのポーズをとる娘。

曲がかかると周りの動きに合わせて踊り始める。

5年生の中で1人だけ1年生みたいに頭2個分くらい背が小さい娘は、ハッピはブカブカで、集団の中にいると見えなくなるくらい埋もれてしまう。

親も見失わないよう、カメラで追いかけるのに必死。

でも、隊形移動も支援学級のお友達に手をひかれながらもちゃんと、遅れることなくついていき、激しい踊りも小さな体で精一杯頑張ってました。

かけっこに引き続き涙が止まらない。

 

5年生の親でこんな泣いてる親もいないよな、と思いながら最後まで見終わると、「なっちゃん頑張ってたね…!!!」と他の親御さんや支援員の先生が涙ぐみながら次々声をかけてくれてまたまたまたもらい泣き。

担任の先生も「泣いてしまいそうでした…」と声を掛けにきてくださいました。

毎年できない様子を見守ってくれてた支援員さんや他の担任の先生たちも多いので、ある支援員さんは「もう、感動しちゃって。孫を見ているような気持ちです」と泣いてくださってました。

娘が頑張ったことも嬉しいけど、一緒に感動してくれる人が多いことも本当に嬉しくありがたいことです。

 

本番終了後の娘はいつになく「やり切った!」といういい表情をしていました。

娘も息子もどっちもちゃんと参加できた運動会が、今回が生まれて初めてで。笑

ここまでの道のり、長かったな〜としみじみ。

でも、きっともう2人とも大丈夫。

 

これから長い人生の道程をきっとしっかり歩いていってくれるはず、親は見守るだけ…と、なんともいえない晴れがましい気持ちです。

他よりも決してできるタイプではない我が子たち。でも、

花開くタイミングも、どんな花が咲くのかも、その子によって違っていて。

 

親にできるのは無理に花を開かせることでも、花の種類に期待することでもなく、きっといつか花は咲くと信じて待ち続けることなんだと。

今回、去年から引き続き担任してくださっている担任の先生が「きっとできる」と信じて応援して待ち続けてくださったことも、娘のやる気を引き出したように思います。

親にもできなかったことを、たくさんしてくださいました。

これからも心配や不安はつきない子育てだろうけれど、こんな感動の気持ちをもらえるのも「スペシャル」な子どもたちを授かったことの醍醐味だな、と感じています。