『羊と鋼の森』ネタバレ感想 | Nシネマ

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今日はこちらを観てきました。

 

原作は読んでいません。

 

 

●あらすじ

北海道育ちの外村直樹(山崎賢人)は、高校でピアノの調律師・板鳥宗一郎(三浦友和)と出会い、板鳥の調律したピアノの音色がきっかけで調律師を目指すことに。やがて板鳥のいる楽器店で調律師として働き始め、先輩に同行した仕事先で高校生の姉妹ピアニスト和音と由仁に出会う。

 

 

●結果(★5=満点)

 

★★★★▲(4.5)

(映像も音色も人も美しい)

 

 

 

 

●感想(敬称略)

 

とてもよかったです!

 

一人の若手ピアノ調律師の成長を

優しく、静かに、

そして力強く見せてくれました。

 

 

 

 

本当に優しい映画です。

 

外村(山崎賢人)は高校生の時に

学校で調律をしていた板鳥(三浦友和)と出会い

その音色に感銘を受け、

東京で調律師の学校に通い

調律師となります。

 

そして北海道に戻って

楽器店で調律師として

働き始めました

 

調律師の学校が

あるんですね~。

 

 

 

勤務先の楽器店。

なんか素敵。

 

 

同僚には

事務の女性(堀内敬子)

ぶっきらぼうな

元ピアニストの先輩・秋野(三石研)

 

頼りがいのある柳(鈴木亮平)などがいます。

 

 

 

 

外村は

柳と一緒に

調律を頼まれた家を回ることに。

 

先輩の様子をメモを取り

必死に

技術を覚えようとする外村。

 

 

 

しかし

簡単に身につくものではありません。

 

一言で調律と言っても

人によって

「やわらかい音がいい」

「もっと力強く」

と音色に希望があり。

 

そしてその「やわらかさ」や「力強さ」は

人によって感じ方が違うもの。

 

それを感じ取り

結果を出さなければいけない。

 

難しいんですね~。

正しい音階にするだけではないんだ・・・

 

 

少しできるようになって

力を過信して

一人で調律してみたら

音を台無しにしてしまったりして

悩む外村。

 

調律師になるきっかけになった板鳥から

アドバイスとなる詩人の言葉をもらうと同時に

調律に使うハンマーを

「おめでとう」とプレゼントされました。

なぜおめでとう?と聞くと

悩み始めたことが

スタートだ、と(セリフの記憶曖昧ですが)。

 

ちなみにこれがハンマー

 

 

 

外村はやがて一人立ちし

様々な家の調律をしていきます。

 

ごみ屋敷のような家に住む

青年(森永悠希)のピアノ。

 

ホコリをかぶった

ひどい状態で

14年調律をしていません。

 

丁寧に調律を行い

美しい音がよみがえり

外村に頼まれ

14年ぶりに

ピアノの前に座る青年。

 

子犬のワルツを弾き始めます。

 

最初はぎこちないけど

どんどんスムーズに指が動くように。

 

音色と共に

青年の目から涙が。

 

彼の過去が流れます。

 

青年は幸せな家庭に育ち

両親に見守られピアノを弾いていましたが

両親を失い愛犬も亡くなり

たった一人に。

 

悲しみに暮れ

引きこもりのような

生活をしていたのでした。

 

 

 

ピアノによって

立ち直った青年。

 

調律によって

一人の人生を変えた外村。

 

短いながらも

とても素敵なエピソードでした。

 

 

 

 

順不同ですが

ほかのエピソードを。

 

バーのマスター(城田優)。

柳の調律を信頼していて

なかなか外村を認めてくれない

この映画で唯一

ちょっと意地悪な存在でした。

でも本当は愛があるんだよね。

カッコよかったなぁ。

 

 

また、外村の実家では

祖母(吉行和子)が亡くなり

久しぶりに

弟(佐野勇斗)と話をしたのですが

弟から

「ばあちゃんはいつも兄貴の自慢をしていた」と聞き

みんな弟ばかり可愛がっている、と思っていた外村は

驚きました。

 

話してみないとわからないことって

ありますよね。

これも調律と同じなのかな。

(相手を知るために話す)

 

 

弟と仲直りできてよかった♪

 

 

 

 

そして板鳥は

来日する海外の超一流ピアニストから

名指しで調律を頼まれます。

 

ピアノの内部だけでなく

脚のゆがみまで調節し

音を作り上げていく板鳥。

 

気難しいピアニストから

OKをもらい

演奏は大成功。

 

全てを見ていた外村に

再びハンマーをプレゼントする

板鳥。

もう一度

外村のスタートなんだ!

 

板鳥は何も言わなかったけど

伝わりました。

 

板鳥みたいな恩師がいたら

辛いことがあっても

前を向いて

がんばれそうだなぁ。

 

 

 

 

 

 

そしてこの映画の一番のエピソードは

佐倉和音(上白石萌音)、由仁(上白石萌音)の

姉妹。

 

 

とても仲が良くて

いつも一緒にピアノの練習をしていますが

その音色は対照的。

 

姉の和音は柔らかく優しい音色

 

妹の由仁は元気いっぱい楽しい音色を奏でます。

 

和音は「どんなに練習しても

褒められるのは由仁の方」と

少しコンプレックスを持っていました。

 

コンクールに向けて

外村に

何度も何度も調律を頼む和音。

 

外村も

故郷にいる弟にコンプレックスを

持っていたので

和音の気持ちがよくわかり

一生懸命

彼女の希望に合う調律を重ねました。

 

 

が、コンクールで事件が。

 

由仁が

途中で演奏ができなくなり

その後ピアノを弾けなくなったとのこと。

 

しばらく調律は不要と連絡が来ました。

 

 

最初、和音が

練習のし過ぎで

腕でも痛めたのかな?と思っていたら

由仁の方だったので

ここはビックリしました。

 

 

外村は

「自分が和音のためだけに

調律をしたから

由仁の演奏に(ピアノが合わず)

負担をかけてしまったのではないか」と

ひどく落ち込み

自分を責めますが

柳から

「思いあがるな。調律師にそんな力はない」

と強く言われました。

 

 

 

由仁は普段は何ともないのに

ピアノになると指が動かなくなる

イップスのような症状になっていました。

 

和音はそんな由仁を見て

自分もピアノを弾くことを

やめていましたが

柳の結婚披露宴でピアノ演奏を頼まれ

引き受けました。

 

 

話がそれますが

柳はバンドでドラムを叩く一面を持っていて

外村はライブに招かれたことがありました。

 

そこで彼の恋人(仲里依紗)に出会います。

 

「彼のドラムは正確」という彼女。

 

実は柳は

音や色にこだわりが強すぎて

生きることに不器用だった。

でもメトロノームに出会い調律師になったことで

今のこういう彼がある、と。

 

欠点のない先輩に見えた柳ですが

そういう一面があり

驚く外村でした。

 

 

結婚式の2人は

とても素敵なカップルでした。

 

 

外村は和音の弾く

この披露宴のピアノの調律で

苦労します。

 

コンサートホールと全く違う環境。

 

人の出入り。食器の音。

話声。

 

雑音のある中で演奏するための

調律が必要だったのです。

 

外村は

かつて板鳥が

行っていたように

ピアノの足のゆがみを直し

板鳥から教えてもらった

詩人の言葉を思い出しながら

様々な音がある中でも

遠くまで音が響く調律を行い

演奏は大成功。

 

BGMとしての演奏に

招待客の何人もが

耳を傾けていました。

 

ここは

招待客の表情だけで

「どんなに素敵な(でも邪魔にならない)

演奏なのか」が伝わって

とても嬉しい場面でした。

 

そして

和音も由仁も

新たなスタート。

よかったです!

 

 

最後は外村が力強い表情で

皆に

「コンサートホールでの調律師を目指す」と

宣言。

 

明るい未来を感じながら

映画は終わりました。

 

 

 

エンディングは

久石譲指揮・辻井伸行演奏によるもの。

辻井さんの演奏は

ミュージックステーションで聴いた時

一瞬で耳を、心を奪われました。

 

もう一度聴けて嬉しい。

 

 

 

 

 

 

あと偶然だけど

この前の日

『いつもポケットにショパン』を

読み終わっていたのです。

 

私が持ってるのは文庫版だけど

(どーでもいいですねww)

 

朝ドラ『半分、青い』に

くらもちふさこ先生作品が出てくるので

読み返したくなったわけですが

(そして感動再燃)

 

ピアノモードに入っていた所に

この映画を観て

ますます感動が増幅した気がします。

 

ピアノ弾きたくなった~。

もう絶対指が動かないけど~。

いや譜面もきっと読めないけど~。

 

 

 

うーん、

これからピアノを見ると

外村を思い出しそう。

 

 

 

 

山崎賢人、よかったなぁ。

 

イケメン青春作品や

漫画の実写版が多かったけど

ドラマ『陸王』から

役の幅が一気に広がりましたね。

 

あ、そー言えば

萌音ちゃんとは兄妹で共演してたわw

 

上白石姉妹も

よかったですね。

ピアノの演奏も見事でした。

(お母さんがピアノ教師だそうです!)

 

この姉妹好きだわ~。

また共演してほしい。

 

 

 

ああ、

本当に

静かながらも

力強く前向きな

希望に満ちた素敵な作品でした。

 

 

相手の希望する調律をすることによって

弾く人が安心して演奏ができる。

 

調律師が聞く(聴く)のは

音色だけではなくて

相手の言葉でもあるんですね。

 

演奏の裏には

そういう

大切な大切な準備があった。

 

どんな仕事にも

大切な裏方さんがいると

改めて思いました。

 

 

高校3年までピアノを習っていて

家にも調律師さんが来ていたけど

その頃は

何も考えてなかった・・・

 

遅いけど

心から

「ありがとう」を言いたいです。

 

そして

そう思わせてくれた

この映画にも。

 

ありがとう。