6月19日(水)、鈴木優人の指揮によるN響第2015回定期公演(6月Bプロ定期初日)を聴きにサントリーホールへ。
ウェーベルン初期の作品とあってか、突き詰められた厳しさというよりはドイツ後期ロマン派の残映が前面に押し出された演奏のように感じました。
続いて、イザベル・ファウストをソリストに迎えてのシェーンベルク/ヴァイオリン協奏曲。
この作品を聴いたのは、2019年1月の広響新ディスカバリー・シリーズ「黄昏の維納」~シューベルト交響曲チクルス~Ⅷに於ける川久保賜紀と下野竜也による演奏以来。
ファウストのソロの、安定した技巧と美音に基づく作品の精神性と運動性そして内奥に潜むロマンティシズムの体現は、やはり期待どおりのものでした。
鈴木の指揮は、峻厳さよりは多彩なオーケストレーションの妙味に焦点を当てたもののように思われました。
ソリスト・アンコールは、ファウストらしい端正かつ確固とした造型力による誠実な演奏。
後半はまず、バッハ(ウェーベルン編)/リチェルカータ。
光彩の微細な変化の表出された流麗な演奏でした。
最後は、シューベルト/交響曲第5番。
速めのテンポに基づく颯爽かつ活気に充ちた好演でしたが、反面、特に第1・第2楽章に於いて馥郁たる趣や陰翳が後退してしまった感も否めませんでした。
チケットは完売との事前告知はSNSで眼にしていたものの、シェーンベルクとウェーベルンという新ウィーン楽派の作品が中心のプログラムでは会場はがらがらになるのではないかと危惧していたのですが、イザベル・ファウストが出演するとあってか、思った程には空席は目立たなかったのは幸いでした。
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