nabisonyoです。
当ブログにお越しいただきありがとうございます。
こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ジフside
店を出た数歩先に立ち止まっていた女に声を掛けると飛び上がるように驚いて。その驚き具合に笑いが込み上げてくるが何とかこらえるように口元を押さえて言った。
「俺も通り道だから、途中まで送ってやる」
「え?」
呆然としている女をよそに細い腕を掴んで地下鉄に向かって脚を進める。『待ってください!』と大声を出すから、止まれば俺にぶつかってくる。睨みつけると白々しく『あ、痛っ。あー』と言って頭を押さえた。子どものような行動に呆れて見ていると、コホンッと小さく咳をして胸を張るように向き合ってくる。
「いきなり腕を掴んで引っ張るのはダメです。わたしは物じゃありません!それに送ってくれなくても大丈夫です。一人で帰れます」
「ふんっ。子どもが歩くには遅い時間だ。それにハヌルの彼女を一人で帰したとなれば、あいつに何を言われるか分かったもんじゃない」
俺より頭一つ分ほど小さい女に向かって言うと、『はぁ?』と変な声をあげた。そんな態度にイラッとして眉を寄せる。
「オッパとは付き合ってません!あなたこそシウンオンニって言う彼女がいるのに他の女性を送ったらダメじゃない!」
「は?付き合っているわけないだろ!」
女の言葉に今度は俺が変な声をあげる。しばらく間が空き、そして二人で眉を寄せた顔で頭をひねる。
「……あなたはシウンオンニが。好き?」
「まったく。そんな気持ちはない」
「……えぇっと。そこのカフェにでも入って話を聞いても?」
質問に頷くだけの返事をし、カフェの席に小さいテーブルを挟んで向かい合わせで座った。コーヒーを頼んだ俺とアイスコーヒーを頼んだ女。コーヒーから出る湯気が少し収まり、アイスコーヒーのグラスには玉の雫が出始めて。なかなか言葉を発しないから、脚を組みなおし『それで?』と言えばようやく目の前の女は話し出した。
「ジフ、さんって呼びますね。えっと、それでさっきの続きですけど、本当にシウンオンニと付き合っていなくて、好きでも、ない?」
「くどい。そんな気持ちは最初から一度も持ったことがない」
唇を付き出して拗ねる子どものようにブツブツと『言い方ってもんがあるんじゃない』とか何とか言っている。俺は無愛想なせいか、今まで周りにいた女たちは怯えたようにされることが多かったが、こんな風にケンカ腰なヤツは初めてで新鮮だ。
「……オッパはオンニを愛してます。ずーっと前から。でもさっきやっと気が付きました。オンニはオッパのこと、どう思っているんでしょう?」
ブツブツと独り言を言っていたはずが、急に顔をズイッと近づけて来るから驚いて後ろにのけぞった。だが、目の前の女が言った言葉を理解した時、俺はさらに驚いた。
「は?ハヌルがシウンを愛してるだって!?」
「そうだって言ってるじゃないですか!で、オンニは?」
さらに返事を求めるように近づくから、手で払い席に座らせる。
真剣に心配しているのか、人の恋愛や噂話で楽しみたい女なのか。ハヌルが気に入っているヤツであればそんなことはなく、前者なのだろうとは思うが。まだよく分からない。
「あぁ。シウンは大学の頃からずっとハヌルのことだけ見てきた」
俺の言葉を聞いて、目の前の女は零れるような笑顔を浮かべたから。
「あんた……」