「カズキは、そうやってポジティブに考えられるから羨ましいよ」
「ポジティブっていうか俺の場合思い込みだな!
人生ってのは勘違いの連続だろ。
初めからダメだって思うより
『上手くいく』って考えてた方がそのままの勢いで成功する事あんじゃん!」
「‥んー。」
「それにユウサクは曲が作れるし、スゲぇことだと思うんだ。
俺はカバー曲やってキャーキャーもてはやされたいとは思っても
曲を作りたいって気持ちが湧かないからさ。
だからそういうのって個性だと思うもんな。
持ってるヤツにしか出来ねーじゃん。」
「カズキは十分個性的だと思うけどな‥」
しかし、思い返せば、俺がギターを始めたのも
押し入れにあった父親のギターをふざけて弾いてたら姉が
「上手い!アンタ天才じゃないの!」って言ったのを俺が真に受けたからだった。
物心つく大人になってから姉に尋ねたら、
あの時、冗談のレベルで言っただけだと暴露していた。
確かにそういうもんなのかもしれない。
カズキとは小学校の時からの腐れ縁で、近所住まい。
お調子者だけど、
俺が行き詰まった時、ここぞという時に
的確な言葉を投げかけてくれるから侮れない。
「どれだけ自分に暗示をかけられるか‥って事か?」
「そそそ!ユウサクー、ギターもう一回教えてくんない?
俺も女のコ達と出会いまくりたいんだよー。
イイだろー!?
友達だろー!?」
うーん。
『9割5分の打率で
お調子者』と付け加えておく。
(続く)