Touch & Go 【エピソード2】 | 初代スマブラ名人の居間

初代スマブラ名人の居間

初代スマブラ名人の及川です。

ここではスマブラだけでなくゲームの楽しさを皆さんと共有していけるようにを想いを書いていこうと思います。ゲームに興味がある方に少しでも楽しんでいただく為に始めました。

「ユウサクさんっていつも土曜日路上ライブやってるんですよね‥?
来週もやりますか?」

「いや、やらんよ」
俺は飄々とした軽い口調で答えた。

「じゃあ再来週は‥?」
「いや。」

「でもここのチラシには、『毎週土曜日定期的に』って書いてありますよ」

チクリと針で突かれたような
痛みが胸に刺さった。


「実はさ、君が最後のお客さんなんだ。
俺、今日で路上で歌うの辞めようと決めててさ」

「え?なんで?どうして?」

急に危機迫る感じで問い質す水華。

視線を落としつつ
譜面台を畳みながら、
ケースにしまう。

「まあ、よくあるスランプってヤツかな。
なんかそれが半年近く続いてて
満足に歌えなくなってきたから
9時になって誰も来なかったら辞めるって決めてたんだ」

「あたしが
来たじゃないですか!」

「うん。9時5分くらいにね。
元々、9時回ったらケジメを付けるって決めてたんだ。
そういうトコ頑固なんだ、ごめん」

俺の決意は固かった。
もう揺るぎようがなかったんだ。


「そうですか‥ざんねん。」

「もう9時だし
『笑っていいだろ』始まっちゃってるから帰ろう。」

「あ、アレ面白いですよね~。
じゃあまた気が向いたら歌ってくださいね~」

「おう」

気のない適当な返事を返して
俺は家路にたどり着いた。

テレビを付けると
司会のダモさんが
ちょうど
現れたところだった。


それから30分くらいボーっと見ながら
その後、テレビを付けたまま寝てしまった。


なんとなく
妙な違和感を胸に残しながら。


(続く)