『喉元過ぎれば熱さを忘れる』
霞ヶ関の官僚人事は事務次官が決めて内閣が承認するのが慣例だから、大臣に人事権はない。
大臣はお客様であり、御輿に過ぎないから、政治は官僚が仕切る。
法律も官僚の作文が国会で承認されるから、官僚は行政だけでなく、司法にも立法にも影響を及ぼす。
民主主義国では国民に選ばれた政治家が政治を行うのが当たり前だが、日本では国民に選ばれない官僚が政治を仕切る。
安倍内閣は行政の本来のあり方を目指して、公務員制度改革に取り組んだ。それが日本を取り戻すための第一歩と考えたのだろう。
そして、2014年5月30日、内閣人事局を設置した。
各省の事務次官は、彼らの権力の源泉である人事権を奪われるから、大いに焦り、慌てふためいたに違いない。
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政治家主導か官僚主導か。
どちらも一長一短なのだろうが、議院内閣制を定める憲法の立場からは、行政の長が人事権を握る政治家主導が当たり前である。
しかし、霞ヶ関の官僚という巨大組織は、既に大臣や総理大臣の思惑通りに動くものではなくなっていた。
次から次へと利権を漁り続けるから、天下りが減ることはないが、調子に乗れば猿も木から落ちる。
文科省の組織的な天下りが露見して、前川事務次官が処分された。
そして、その報復として今回のモリとかカケなどの問題が起きたと考えれば頭の中がスッキリする。
彼らの狙いは安倍政権を退陣に追い込み、内閣人事局をぶっ潰すことだろうから、歌舞伎町の「売買春出会い系バー」に週3回から4回通って女性を物色したとして世間に恥を晒した前川前事務次官の孤軍奮闘さえ、喝采を叫んで応援する。
世間の笑われ者から転じて、いつのまにか官僚の希望の星となっているらしいから、笑ってしまう。
仮に安倍政権が敗北するとどうなるのだろうか?
思うに、
①官僚が気に入らない政権は長く続かないという悪しき前例ができる。
②役所に丸投げするだけの緊張感のない昔の自民党政治に戻る。
③憲法改正はもちろんの事、規制改革も税制改革もできなくなる。
④取り戻しつつある日本も手から離れて元の木阿弥となる。
久しぶりに国会中継を観たが、前川前事務次官の思い込みを官邸が全面否定するという構図だろうか。
安倍総理は恥じるところは無いと思ったのだろうか、関与を全面否定した。
違法性がないのなら、関与したところで格別の問題がある訳ではないのだが、安倍総理は正直な人なのだろう。
「断じて関与はしていない。関与したのが事実なら総理を辞める。国会議員も辞める」と断言した。
これが無為無策で暇な野党を張り切らせてしまった。
関与した証拠さえ見つかれば、落ちぶれ果てた野党にも安倍総理を辞めさせることができると思ったから、元気が出た。
そんな安倍降ろしに励んでいるのは野党だけではない。
①財務省を主とする省庁が関与し、②前川前事務次官が作成あるいは入手した内部文書を③朝日新聞や野党にリークした。
これは官僚による官邸への反乱である。
そして、内部文書のマスコミへのリークは公務員の守秘義務違反である。
気に入らない総理大臣を辞めさせたければ、官僚が内部文書をマスコミにリークすればよい。
こんなバカな話はないが、第一次安倍内閣は同じ手でやられたらしい。
現在、安倍内閣の支持率が下がり始め、楽観論や悲観論が飛び交っている。
まさか、悪夢の民主党政権の再来にはならないだろうが、人は時々喉元を過ぎれば熱さを忘れる。
それにつけても、安倍政権を支持しなければならない。
★内閣人事局について★
内閣人事局は国家公務員の人事管理に関する中枢機能を担う組織であり、
①幹部職員人事を一元的に管理し、
②政府的観点に立った国家公務員の人事行政を推進する事務を行い、
③行政機関の機構・定員管理や級別定数等に関する事務を担当する。