Shibuya Crossing⑨ | 流浪日記

流浪日記

日々の出来事など

歌舞伎町の部屋、

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SHIBUYA SKYへ、

四方を全面ガラス張りで囲まれている。

どこまでも続く街、飛び出しているタワー、

ぽつぽつと飛び出している高層ビル。

(都会の出る杭だね)

そして遠くの霞の先に見える山、と反対側にきらきらの海。

ガラスの淵までいき地上をみる。

豆つぶのような人や車。

ヘリポートまで戻り、勢いよくダッシュ、(ジャ~ンプ)

一回転、くるりと真っ青な空が見えて、

ガラス張りを飛び越えた。

足元に何もない空中に一瞬ヒュッとなる。

もう一度回転し、

真っ逆さまに落ちてゆく。

SKYの全面ガラス窓に映る私、いや

(私がキャラクリした私のアバター)

次の階、から次の階へ....

(あの少年がいる、笑顔、あっウインク)

(ボーダーの長そでシャツ)

(紺の半ズボン)

(白に青のラインのソックス)

(アディダスのスニーカー)

次の階、また次の全面ガラス窓。

(私の理想のキャクターの女の子)

(笑顔が可愛い、私の好きな顔、

でも今は無表情。)

(どんなことを考えているのかな)

(何が好きなのだろう、この子)

(どんな友達がいるのだろう)

どれくらい落ちたかな、回りのビルはまだ下のほうだ。

虚無....

いつの間にか上に昇っている。

ゆっくり昇る。

地面の天井が近付いて来た。

頭ぶつけないようにくるりと一回転。

足から着地、制服のスカートがフワッとなった。

交差点の真ん中。

道路の反対側にさっきの少年がいるのが見えた。

(こいつストーカーなのかな)

と、道玄坂からイエローのスポーツカーがビルの谷間にスキール音を響かせ

交差点をドリフトしながら曲がってきた。

窓ガラスは真っ黒のスモークで車内は見えない。

(またゲームプレイヤーを追いかけているんだろう、すごい殺気)

いきなり方向転換し美那に向かって突っ込んできた。

(あっ)

避ける暇もなく宙に舞い地面に叩きつけられた。

(ログオフ、)

(えっ、回線が切れない)

(私、死んだ?)

(まさか脳死状態?)

(たしか3分までなら大丈夫なんだっけ)

(どうしよう、戻れない)

(それにしてもゲームに参加してないのに殺されるとは

何が起こっているのだろう)

(.......)

(一生仮想空間ですごしたりして...)

美那は立ち上がり取りあえず歩道へ向かった。

するとさっきの妨害CPUイエロースポーツカーが歩道を

通行人を蹴散らしながら美那のほうに

突っ込んできた。

美那は今度は落ち着いて素早く闘牛士かの様にヒラリと避けた。

「クソコンピューターが、バグってんのか」

振り返ると車があり得ないスピードで停止し、ドアが開いた。

中から金属の輝きがまぶしいロボットみたいのが降りて来て、

全速力で美那に向かってきた。

(フン、ゲーマーなめんなよ)

ロボットがいつの間にか日本刀を取り出し

美那に振りかざし....

美那は紙一重でかわした。

(凶暴すぎる、取りあえず逃げよう)

公園通りへ素早く駆け出した、

視界の隅に銀色のきらめき、

心臓の鼓動、どくどく、シルバーの圧が迫る。

と、背中で青のアルピーヌがタイヤのスキール音を響かせ

ロボットに突っ込んで行き轢き殺した。

アルピーヌのドアが開き先ほどの少年が見つめてくる。

美那は車に乗った。