正直The Strokesの『Is this it?』だけでは現代ガレージ・ロックは一発屋の体で今頃また日蔭の隅に追いやられてしまっただろう。The White Stripesがいてくれたことでその一瞬の爆発がガレージ・ロック・リヴァイヴァルというその後の一連のムーヴメントを形造ることができたのである。『Fell in Love with a Girl』のキャッチーなPVもさることながら、このアルバムの一曲目『Seven Nation Army』のPVも秀逸である。思えば彼らの活動とはある意味ガレージ・ロックの現代に対する逆襲である。80.90年代に廃れていったはずのガレージ・ロックが2000年代になって突如ダムが決壊するかのごとく氾濫していく。「おまえらはやれハードロックだ、やれグランジだとかほざいてきたけど、結局ロックてのはこーゆーもんなんだぜ」と主張をしている。一見思い上がりはなはだしいかもしれないが、その証拠にWhite Stripesのアルバムはリリースのたびに数々の賞を飾ってきたのである。ただ残念なことに下火になってきたムーヴメントもLady Gagaや完全デジタル化したBlack Eyed Peasの躍進により今年をもってついに完全終結してしまったように思える。もう少しで始まる次の十年が終わったときにガレージ・ロックがどうなってしまっているのか、それはすべて彼らThe White Stripes、というよりはもうJack Whiteの肩にかかっているといっても過言ではない。
1位 Radiohead 『Kid A』 2000年
ロックは空を飛ぶためのものだと思っていた。空を飛ぶ、それは翼のない我々人類にとって最大の夢であり、人はそれを可能にするため努力をし、そして実現させ、いまでは宇宙にまで到達することができる。ようするに人間の本能的な欲求として人類は上へ上へと昇っていきたい、もしくは引力という見えない力に縛られたくはない、という欲求を持っているものである、ということである。しかし、『Kid A』はそんな概念を大いに覆した。『Everything in Its Right Place』の通り、すべては収まるべき場所に、つまり人間は大気圏内、地球上、いや地表上にのみ存在するべきで、他の領域を侵犯してはいけない、そんな宇宙の法則を代弁し我々に投げかけているのだとボクは考える。しかもそれを人間の作りだしたデジタルでやっているという矛盾がまたすばらしい。いまだにこのアルバムを聴くと鳥肌が立ってしまうが、それは感動によるものではなく純粋な恐怖によるものである。人間の作りだしたもはや究極のサウンドであるといっても過言ではない。あと100年後であっても名盤とされているに違いない一枚である。