lumière 7 | 潤いと和み。

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末っ子ふたりの妄想bl書いてます。
J×Nオンリーです(๑´ㅂ`๑)♡*.+゜

大丈夫な方のみ、お進みください♡




妄想blです。













お嫌いな方はスルーで。













side  J




図書館の自動ドアをくぐって、奥の書棚に向かう。
その場所は、あの子に初めて会った場所。

今日はいるかな?

あの日、あの夜に会えた日から、もう暫く会えていない。
テスト前だって言ってたし、高校生だと色々と忙しいんだろうな、なんて思って。
それでも、この場所に来ると、どうしても一番にその場所に向かってしまう。



一歩、二歩と進んで、背の高い書棚が並ぶ一角に近づいていく。
キョロキョロと見回してみると、書棚の奥に彼がいた。
あの日と同じように、上の方の棚を見上げた格好。
その姿に、思わず顔が綻んでしまうのが自分でもわかった。


ゆっくりと近づいて、声を掛けた。

「こんにちわ。」

「あ、こんにちわ。」

手には既に二冊の本が抱えられていた。

「久しぶりだね。テストどうだった?」

「まぁ、それなりにって感じです。」

「そっか。お疲れさん。」

「...。」

やべぇ。
会話が続かない。
高校生相手って、どんな話振ったらいいんだろう。
どんな事に興味あるんだろう。
そんな事を考えるけど、あんまりナイスな話題は浮かんでこない。

「そうだ!喉、乾かない?」

何とか絞りだした言葉に、今度は彼がほんの少し笑顔を零した。

...なんか、可愛いな。
僅かに上がった口角と薄い唇。
白い肌と色素の薄い瞳は、ワンコっぽい。

「じゃあ、コレ借りてきますね。」

そう言って貸出カウンターへと向かう彼の後を、俺も追いかけた。




彼が選んだのは、この前と同じ炭酸ジュース。
オレも同じコーヒー。
ベンチに隣同士に腰掛けて、それぞれプルタブを起こす。

「二宮くんって、何年生なの?」

「一年です。」

てことは...

「16歳、かな?」

「15です。誕生日まだなんで。」

マジか...。
自分との年の差に、ちょっとだけ愕然とした。
でも、それって俺がオッサンな証拠なんだよな。

「学校、楽しい?」

「んー...まぁ、それなりですね。」

「さっきもそう言ったね。」

「え?さっき?」

テストどうだった?って聞いた時も、彼は「それなり」って答えた。

「...無意識だった。そっか、口癖なのかな?」

呟くみたいにそう言って、下を向いて缶を両手で弄っているのは、テレてるからなのかな?

「ふふ。まぁ楽しんでるならいいんじゃない?」

自分が高校生だった時の事を少しだけ思い出して、何だか彼がほんの少し羨ましくなった。

「松本さんって、なんの仕事してるんですか?」

「普通の会社員だよ。」

「その普通っていうのが、よくわかんないっす。」

そっか。
確かに自分も学生の頃は、会社員って一括りに言われてもよくわからなかった。

「俺の仕事はね、モノを売る仕事の手伝い。働く人が、上手く仕事が出来るように会社の中の色々な事をスムーズにやれるようにする仕事。」

きっと、高校生に総務課って言ってもよくわかんないだろうから
自分の仕事をなるべく分かりやすく伝えようとしたら、こんな言葉になった。
間違ってはいないと思う。
世の中は、モノを売買する事で回っている。
そのモノが具現化されたものか、知識か、情報か、様々なものに枝分かれしているものの
結局はそれらのモノの売買によって様々な業種が成り立っていると思う。

「仕事って、楽しいですか?」

「...なんで?」

「自分が大人になった時の事、あんま上手く想像出来なくて。
やりたい事とか、なりたい職業とかも特に無いし。」

左手の指先で唇をそっとなぞるその仕草は
さっきまでとは少し違う印象に見えた。

何となく、心許ないというか...
構いたくなるというか。

「高校一年なら、まだ将来を決めなくてもいいんじゃない?
色々経験してからでも遅くないと思うし。」

「そうですね。
すいません、なんか暗い話になっちゃいましたね!
松本さんは今日は何借りるんですか?」

顔を上げた二宮くんは、さっきよりも明るいトーンの声で聞いてくる。
彼なりに気を遣ってくれてるのがわかるから、それに応えるようにその話題に乗っかった。

「もうすぐ公開される映画の原作を読もうかなって思って。
でも、そうゆう本って、きっともう誰かが借りてるだろうなぁ。」

図書館でも、話題の本は特集のコーナーが作られる。
だけど、本屋と違うのはその在庫の数だ。
だからこそ予約制ってものもあるにはあるけど、貸出期間を考えると、自分に回ってくるのが一体いつになるのか...
検討もつかない。
思わずため息が出る。
そんな俺を覗き込むみたいにして

「なんて言う映画ですか?」

そう聞かれて、電車の中吊り広告で見た映画と同じその本のタイトルを告げると、二宮くんはまた唇を指先で触れる。

「それ、家にありますよ。貸しましょうか?」

「え?いや、悪いよ。」

「ジュース奢ってもらったし、そのお礼です。」

本当に読みたかったら、このまま本屋に行けばいい。
それでも、照れたようなはにかむ笑顔を見せられ、お礼だと言われると思わず頷いてしまいそうになる。

「...本気で?」

いくら何でも、知り合ったばかりの人間にそれは流石にマズイと思う。
でも、二宮くんは気にしないとばかりに

「連絡先、教えてください。明日の夕方でもココに持ってくるし。」

そう言って笑うその笑顔に、いろんな意味で完全にノックアウトされた気がした。


結局、お互いの連絡先を交換して、明日の約束をしてしまっていた。



「じゃあ、また明日。」

そう言って自転車に跨った彼を見送ったものの
あまりの展開の早さに若干追いつけないというか何と言うか...
イマドキの高校生って、こんな感じなのか?って思いながら、小さくなる彼の後ろ姿を見ていた。