宵待つはうたかたの中で。1 | 潤いと和み。

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大丈夫な方のみ、お進みください♡



妄想blです。







お嫌いな方はスルーで。









月が綺麗だから。
満月の今夜、その月の綺麗さに誘われるみたいに、夜の散歩に出た。

海辺の道路を、何となく歩いた。

月を見ながら。

まるで、吸い寄せられるみたいに着いた海岸で、その砂浜を一人で歩く。

そんなつもりじゃなかったから適当に引っ掻けてきたサンダルは砂まみれ。
その細かい砂は、昼間の熱がまだほんのりと残っているせいか嫌な感じはしない。


「あ、ここ。」

どうしてそう思ったのか、自分でもわからないけど。
何となく、そこから見える月が一番綺麗な気がして、そのまま腰を下ろした。

打ち寄せる波の音だけが聞こえる静かな海。
その場所から見える、大きな満月。







懐かしい。

そして、何だか恋しい。

そんな思いが胸に広がる。


手に持ったカメラを構えて、その満月に向かってシャッターを切った。


久しぶりに構えたカメラ。

もう二度とこのファインダーから見える景色を切り取る事はないかもしれない。
そう思っていた事が嘘みたいに
何度も何度も、シャッターを切る。

今までだったら、その場ですぐに確認するのに
今日は何だかそれをする気にはならなくて。

この景色を切り取ることが出来た、その事実だけで満足してしまった。

汚れるのも気にせずに、そのまま砂浜にごろんと寝転がる。
さっきの座って眺める月よりも、この方が何だかしっくりくる。

何でだろう。

不思議に思いつつ、寝転んだ姿勢のまま
もう一度だけ見える景色をカメラで切り取った。















微かだったその音が、だんだんとハッキリ聞こえてくる。
規則正しくなるそれは電子音のようで。
スマホのアラームだろうか。
だけど、こんな音でアラームをセットした記憶はない。

何の音?

ゆっくりと目を開けた。


最初に目に入ったのは、白い天井と見慣れない照明。
初めてみるそれらが、自分の部屋のものではない事にすぐに気付いた。


酒でも飲んだんだろうか。
ここ、オレんちじゃない。

そう思って、目だけでその部屋を見渡そうとした。
そして、オレが寝ているすぐそばに置かれたモニタが目に入った。
さっきから聞こえる電子音は、そのモニタが発していて。
画面には何かを表す数値と、何かを示す波形が映る。


なんだこれ?

どこかで見たことがあると思って記憶を辿れば、医療モノのドラマでよく見るアレとよく似ている事に気付く。

なんで?

目に入る様々な物が、白い。
カーテン、壁、天井。
体に掛けられた布団、寝かされているベッドのリネン。

なんだ?
なんで?
もしかして。

視界から得た情報の諸々が
何となくそれらの答えを導き出す。

そうして、目覚める前の最後の記憶を辿り
その答えは確証に変わった。




ここは病院で、その一室である場所に

寝かされている事に。

すぐ近くで鳴るモニターは、自分に繋がっている事にも。


オレ、生きてたんだ。


そう思ったけど、それが嬉しい事なのか悲しい事なのかは
目に入る物が白いせいか頭がぼやけていて
ハッキリとは、わからなかった。