妄想blです。
お嫌いな方はスルーで。
「ねぇ、潤。母さん、嫁に行くことにしたから。」
・・・は?
キラキラした顔でいきなり母さんにそう宣言された、中学三年の夏休み。
志望校を決めて、本腰を入れて受験勉強に勤しむはずだった。
自分なりにだいたいの目星を付けて、なるべく母さんに負担を掛けないように、いろいろ考えていた。
結婚しないまま俺を産んだ母さんは、若いからっていうのもあって、苦労したらしい。
だから、せめて少しでも負担にならないように公立でバイトが出来て、チャリで通える圏内でとか。
俺なりに考えてた。
のに。
なのに。
あまりにも唐突なその宣言が、俺から全部の思考を奪った。
だからなのか、それを聞いてからの俺の第一声は、
「じゃあ、俺はお婿に行くの?」
後から考えれば突っ込みどころ満載なそんな言葉だった。
夏休みの間に、母さんの旦那さんになる人に会った。
その人は、面食いの母さんらしい爽やかな人で、それが少しほっとした。
冴えないおっさんに母さんを任せるわけにはいかない。
だから、その人は俺の中では合格だった。
あくまでその人は、だ。
「潤くん、うちの雅紀だよ。君のひとつ年上。」
そう紹介された『 まさき 』はやっぱり爽やかなイケメンで。
「潤くん、よろしくね。」
そう言ってにっこりと笑った。
それが、雅紀との出会いだった。