電話で話した社長の話しだと非常に好意的で、できる事があれば何でも協力すると話していたそうだ。
社長同士の話し合いで直に会い話しをする事になり、LAダウンタウンのホテルで会う約束をして電話を切った。
そしてアポを取り付け約束の日が来たが、先方の多忙を理由にキャンセルされてしまった。
非常に低姿勢で本人から連絡が入ったが、正直言ってしまえばいくら贔屓にしていたとしても先方にとって所詮は『飲みやの姉ちゃん』扱いなのかもしれないし、支社長ともなれば忙しくてあたりまえだ。
社長の秘書も兼ねていたオレは社長の予定を調べ、先方の都合の良い日を聞きなおしアポを取り直して社長のポケベルに連絡を入れた。
社長もその時は仕方が無いと納得ししていたが、その後似たようなことが頻発し流石に少し閉口している様子だった。
結局最初のアポから数週間経ってやっと会えたその常連客は、対象者との関係も認め生活の援助をしていた事も話し、突然連絡が途絶え非常に困惑しながら心配もしている様子だったらしい。
当然対象者が長期間滞在しそうな場所や、連絡が途絶える前の様子、行きたがっていた所は無いか、付き合い始めてからの喧嘩の話し等も聞いていたが、手がかりに繋がりそうな内容には当らなかった。
依頼から1ヶ月近くが経ち、判った事はボーイフレンドの存在とアルバイト先だけとあまりにも脆弱な内容だったが、前金もまだまだ残っており何の報告もしないわけにはいかず、あまり格好のいいものではなかったが日本で待っている依頼人に中間報告を出し、もしかしたら何か手がかりになる事が書いてあるかも知れないと考え、依頼人が持っている対象者からの手紙のコピーを送って欲しいとも付け加えた。
続く