安野光雅7 | Review

Review

エンターテイメント評論(本、映像、音楽、お笑い…)



小学生時代にの学級文庫的なところに置いてあった記憶のある「旅の絵本」。当時は字のない絵本で手抜き?などと不遜なことを考えていたが…改めて読み込むと尋常ならざる作業ぶりと著者の企みの深さに驚愕する。


基本的なストーリーは海から船でやってきた主人公が馬を買い、街を通り抜け、また馬を置いて去っていくというものだが…まずはその風景、建物、人物の細密な書き込みがえげつない。加えてあちらこちらに見受けられる遊び心…確認できただけでも「赤ずきん」「ハーメルンの笛吹き男」「裸の王様」「ブレーメンの音楽隊」「大きなかぶ」「水辺で肉をくわえる犬」「ドンキホーテ」「こんにちは、クールベさん」ゴッホ「アルルのはね橋」スーラ「グランド・ジャット島の日曜日の午後」ミレー「落穂拾い」「晩鐘」等々…


お気に入りは「ANNO1976」の表示。「ANNO」はラテン語で西暦とのこと(A.D.のA…これはやられた…)


ごく一部にお得意の空間ひん曲げのいたずらも込めてあり楽しい…