四国八十八ヶ所巡りなどというものを始めていながら大師様のことをあまり知らないなと思い立ち、手に取りました。
「空海」というある種後世の人間から崇め奉られている人物をか相当「生々しく」というか人間くさく描いている。同時代の最澄や桓武天皇もしかり。
唐へ船で渡る困難さ、唐で教えを乞うための手続き、滞在費用の話など、タイムマシンで見てきたような切迫した描写が続く。
「長岡京」や「乙訓寺」という身近な場所も登場するが、扱いの雑さがかえってリアリティがある。
改めて司馬遼太郎って骨の髄から新聞記者なんだ…と久しぶりに読むと感じさせられる。特定の人物について書くにしてもまずは現地に行って、周辺を取材して、史料を探して、読み込んで、といったアプローチが文章に滲み出ている。
