横溝正史5 | Review

Review

エンターテイメント評論(本、映像、音楽、お笑い…)


角川春樹が、世間からすっかり忘れ去られていた横溝の作品を角川書店から出版するため、横溝の「遺族と」交渉しようと横溝家に出向いたところ、本人自身が出てきてびっくりした、というのは有名なエピソード。


角川の熱心なプレゼンを意気に感じ、版権を渡し、映画化も許した後、未完となっていた作品を心機一転野生時代に連載したのが本作。金田一耕助最後の事件というだけあって読み応えがある。


前半と後半の二部構成となっており、長い年月を経ることによる独特のストーリー展開というか殺人の動機というかすべてが魅力的。


いつもの横溝作品では相当数の登場人物がいながら人物関係図が載せられていないのに、この作品に限っては下巻に律儀に示されている(ということはそこがポイント)。


ラストシーンが印象的。