横溝正史3全編主人公の語りだが、何と言っても冒頭の独白が「効いている」。一気に物語に引き込まれるが、このモノローグがストーリー全体のどのタイミングでなされていたかが最大のポイント(あまり触れるとネタバレになるが…)。「本格推理とメロドラマの融合」が惹句。ヒロインの危なっかしさが何とも魅力的。初読の時は横溝ってこんなのも書けるのか、と偉そうながら驚いた。途中でおぼろげながら犯人の目星がついたが、充分に楽しめる。激勧。