◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆

 

第一期から断続的に楽しんでいる「女房気分de書写」。

現在は

『栄花物語』を読み、巻一から順にひとつずつ好きな場面を書写

という形で一人密かに進行中です。

 

本日は、巻三十一をご紹介いたします。

 

先日ご紹介したように、すでに全巻書写を終えて製本までしているので、これからあと最後の四十巻まで、毎週金曜日にUPする予定です。



巻三十一「殿上の花見」:「アフター道長」の世、威子の苦悩

 

道長薨去後、示される年号は長元3年(1030)12月~長元6年10月。
藤原道長一族は変わらず繁栄していた。主に描かれるのは、帝と中宮の二皇女――章子・馨子内親王。妹の馨子内親王は、“大斎院”選子内親王の退下を受け、賀茂斎院となる。

さて、後一条天皇と亡き道長の娘である中宮・藤原威子のあいだには、上記の通り女子しか誕生していません。中宮は三十歳過ぎ……やはり新たな入内問題が出てきます

 

新女御候補として噂されているのは、道長の子息(中宮の兄)が後見する女子たち――教通女・生子、頼宗女・延子(定子所生の脩子内親王養女でもある)、頼通養女(定子所生の敦康親王女)・嫄子女王。


いままでは威子の後見として、グレイト・ファーザー道長が控えていましたから、そうした話は抑えられていたわけです。一族とはいえ威子の立場は弱くなった、というところに興味を感じ、今回は彼女が苦悩する場面を選びました。

しかしこの、物語の偉大なる中心を失った「アフター道長」現象、光源氏のいなくなった宇治十帖の源氏物語を彷彿とさせますね。

 

 

 

 

 

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