◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆

 

千早茜さん『しろがねの葉』を読みました。

戦国末期から江戸初期にかけての石見銀山が舞台の小説です。

 

千早茜さん、『正しい女たち』『西洋菓子店プティ・フール』と読んできて、いまのところ自分とは相性の良い作家さん。

直木賞受賞作品だとか。芥川賞・直木賞、実はあまり興味ないので、とんと存じ上げず。というより、千早茜が時代劇……!?

 

興味深く、早速拝読。

 

 

いつもと変わらぬ“女の生き方”

 

<千早茜>と<時代劇>とがあまりに結びつかず不安でしたが、力強い筆致でぐいぐい読ませます。

 

ひとりぼっちになってしまった幼い少女・ウメを拾ってくれたのは、天才山師・喜兵衛。つかみどころのない喜兵衛に、銀山での生活や鉱脈を伝えられる。夜目の効くウメは、喜兵衛の手子として働き始めるが、成長して「血の道」が通うようになると……

 

 

深い闇である間歩(まぶ)の存在、過酷な労働に命を落とす男たち、常に隣り合わせの重苦しい暗闇が、行間からたちのぼってくるよう。

しかし、人々は、いやことにウメは、力強いのですよね。

 

 

そう、時代劇とはいえ、既読の現代小説とテーマは変わらず、生きづらい世の中で自分の道を生きていく女性にあると感じました。

男の現場である戦国時代の銀山は、現代よりもあからさまに女性に制限が存在します。それが却って、ウメという強い女性の生き方を浮き彫りにしているようでした。

 

短い命の叫びを感じるような官能的な作品でした。

やはりこの作家さんとは相性がいい!