◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆

 

「刀伊(とい)の入寇」とは……

 

平安中期の外敵侵入事件。刀伊とは、日本では主に沿海州地方に住んでいた女真族をさす。1019年(寛仁3)、50艘余の船に分乗し、壱岐、対馬に襲来、ついで筑前国怡土郡を侵し、志麻郡、早良郡を略奪した。人家を焼き、穀物を奪い、殺された者400余人、捕らえられた者は1000人を超えたという。これに対し大宰府では権帥・藤原隆家が中心となり、京へ飛駅使を立て通報、大宰府官人を警固所に派遣し防戦にあたった。現地住人らの奮戦もあり、賊は警固所や筥崎宮を焼こうとするも撃退されて対馬侵奪以来ほぼ1週間で退散。だが朝廷では、戦功抜群の者に褒賞を与えるという指示が出される以前に戦闘が終了していたことを理由に、論功行賞にはあまり積極的でなかった。府官人の出動状況や現地住人の戦闘活動のほどが知られ、この事件を介し平安中期軍制の実態を知ることができる。

 

<日本大百科全書(ニッポニカ)>より抜粋

 

 

『刀伊の入寇ー平安時代、最大の対外危機』

 

 関幸彦さんの中公新書。

 

刀伊の入寇の実際を踏まえて、当時の軍制について検討した論考です。

現地での細かい様子には初めて触れたので、未知のことばかりでした! 言及のあった、土田直鎮『日本の歴史5 王朝の貴族』の「刀伊の襲来」を再読し、理解の助けにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

『刀伊入寇 藤原隆家の闘い』


次は葉室麟さんの小説です。上の本を読んだ後ですのでより興味深く、特に対馬の在庁官人「長峯諸近」の登場に胸熱!

 

しかし、新選組のアンソロで読んだ葉室作品、いまひとつだったんだ……今回も、やはり自分の好みではない、伝奇小説の趣でした。それでも終盤の戦いの場面は盛り上がって面白かったです。主人公・藤原隆家がチート過ぎるのですが、純粋に彼の英雄ぶりを楽しめばよい作品でしょう。