◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆

 

唐の白居易(白楽天)の「白」と、その友・元稹の「元」。

 

前回はこの「元白」の「まるで恋人どうしであるかのような」友情文学について少し触れましたが、何が言いたいのかわからない尻すぼみの記事になってしまったので追記。

 

『白楽天詩選』より、白居易が元稹を詠んだ漢詩から、ひとつドキッとした「夢微之」を。(川合康三訳注『白楽天詩選 上』岩波書店、2011)

 

 晨起臨風一惆悵

 通川湓水断相聞

 不知憶我因何事

 昨夜三迴夢見君

 

晨(あした)に起きて風に臨み一たび惆悵(ちゅうちょう)す

通川 湓水 相聞を断つ

知らず 我を憶(おも)うは何事にか因(よ)る

昨夜 三迴(さんかい)夢に君を見る

 

 ・惆悵…悲しむ

 ・通川・湓水…元稹と白居易がそれぞれいる離れた地名

 ・相聞…消息

 

白居易は昨夜、元稹の夢を三度も見た。

日本でも古くは一般的だったように、自分が相手を夢見る=相手が自分を思ってくれている、という考え方がありました。

元稹がそんなにも自分の身を案じてくれているのは、何かあったのだろうか……と、風に吹かれつつ便りのない友を思っています。