◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆

 

唐の白居易(白楽天)の「白」と、その友・元稹の「元」。

 

日中共同制作の映画『KU-KAI 空海』では、空海のワトソン役だった白居易ですが、本来、白居易とセットで扱いたいのは元稹です。

 

▲映画『KU-KAI 空海』DVD

手前が染谷将太くんの空海、真ん中が中国の俳優さん演じる白居易。

左奥に鎮座するのはローマ人ではなく日本人・阿倍仲麻呂(笑)

 

 

 

「元白」の二人は科挙のトップとナンバー2。

トップの元稹は白居易より7歳年下、彼は白居易には届かなかった宰相の地位までのぼり詰めました。

左遷・異動の連続でともに過ごした日々は多くはないけれど、たくさんの詩を応酬し、彼らの起こした平易な新詩風は、年号から「元和体」「元和格」と自称、また他称されました。

 

「元白」といっても、BLじゃないのよ。

……と、言いたいところですが……

濃密に相手を思う友情は、一種の愛情にも似て……

 

「二人のあいだにはまるで恋人どうしであるかのような」……
(川合康三訳注『白楽天詩選 下』解説、岩波書店、2011)

 

しかし面白いと思うのは、元白が「友情文学」を創り上げたこの時代に限らず、男性たちはずっとこうした濃密な交友を表出してきたと思われるところです。

(現代にもホモソーシャル的に生き残っているといえるのですが)

 

文人が旅立つ友に送別の詩や「俺たちの思い出」を描いた絵を贈ったり。絵の合作なんかも親密な感じが伝わります。

 

平安貴族に当てはめれば、さしずめ和歌の贈答ですね。

具平親王と藤原公任の親密な応酬もありましたよね。⇒

 

近代ですと「俺の写真」を相手に贈ったりも……(現代的にはかなりの違和感ですが、そうして他家に著名人の肖像写真が残ることも)

 

 

まあなにが言いたいかといえば、「元白いいよね」って話でした。