今回、はじめて“漢詩部分”にチャレンジしてみました。
アヤしいところは、手元のくずし字辞典で確認しながらです。
山水唯紅葉
【巻上 秋・紅葉】
外物の独り醒めたるは松澗の色 余波の合力するは錦江の声
◇訳:山は、紅葉にいろどられて酔ったように真っ赤に染まり、ひとり酔わずに醒めているのは、谷間のみどりの松だけです。紅葉を吹きおろす山風の名残が、谷川の流れと力を合わせて、かの蜀の錦江に錦をさらす人々の声のように響いています。
◇参考:錦江(きんこう)…蜀の人が錦をさらす川。
出典未詳。下の小さな字には「山水唯紅葉 江以言」とある。
*おまけ*
隣の和歌(かな)を一緒に書いてみました。
かな部分の解読・解釈はこちら 。
漢字とかなを同時に見せる古筆をいくつか見て、そのちがいがおもしろかったので、ちょっと真似してみました。和漢朗詠集の場合、その書き分けが肝のひとつとも思いますし。
古筆では同じ筆を用いているのかもしれませんが、初心者の私は漢字とかなで筆を変えてみました(漢字=選毫円健、かな=玉狼行成)。どちらかというと、漢字は濃い目の墨でたっぷりと、かなは少し水を増した墨で繊細に書いています。
[参考文献:川口久雄『和漢朗詠集 全訳注』講談社、1995年<21刷>]