ある土曜の稽古の話です。
一般稽古の日になりますので、いつものように第1部で基本の数稽古、第2部でその活用法を約束組手として行ない、第3部で「形(かた)」、第4部でその分解・解説といった複数のメニューをこなしました。
今日は第1部の話になりますが、具体的に行なったのはタイトルにもあります「裏拳打ち(うらけんうち)」です。
この日は写真も撮りましたので、それを説明と共にアップしたいと思います。
ここでは基本として行ないますので、最初は拳形のポイントの確認からになります。
上の「裏拳(うらけん)」イラストをアップしましたが、拳形そのものは「正拳(せいけん)」と同じです。
しかし、タイトルにもあるようにそのどこの部位を用いるのか、という意識が実戦の場だけでなく、稽古でも必要であり、その説明から入りました。
具体的には上のイラストの網点の箇所になりますが、その中でもメインになるのは拳頭の甲側です。イラストでは手の甲の中手骨の部分まで網がかかっていますが、もしこの部位に強い衝撃が加われば、自分の拳のほうにダメージとして跳ね返ってくる可能性があります。
また、当たる時の効果を考える時、イラストの網点の箇所全てが当たるようでは「面」として衝撃になります。しかし、前述した部位がヒットすれば「点」としての衝撃になります。
「面」と「点」で比較した場合、どちらがより効果的に作用するかは火を見るより明らかです。
そういう説明の上で「裏拳」を用いた技の稽古に入りました。
「その場稽古(そのばげいこ)」として行ないますので、土台となる立ち方は「内八字立ち(うちはちじだち)」です。
そのことは第1部の稽古の場合、すべて共通です。その上で3種類の技を稽古したわけですが、上の写真の場合、「裏拳人中打ち(うらけんじんちゅううち)」の基本的な構えとなります。
両上肢を自身の正面に揃えて構えます。その時、手の甲は正面を向け、自身の顔面の前に置きます。そして、前腕は平行にします。
構えたところから左右交互に「裏拳打ち」を放ちますが、上肢のしなりを活用し、あたかも鞭のような感じで動かします。
名称通り、ターゲットは「人中(じんちゅう)」になります。
タイトルにもあるように、武技として行なう時には手首のスナップを活用することが大切で、インパクトの瞬間は手首を背屈させ、その上で素早く本来の状態に戻します。
この動きを素早く行ない、かつ武技としてのクオリティを得るためには緩急を効果的に活用することが大切で、上肢から拳そのものに至るまでその実践が必要です。
その実例は稽古で見てもらいながら、ということになりますが、なかなか再現できない、という道場生もいます。これは練度の違いによりますので、今後の精進に期待することになります。
続いて行なったのが「裏拳左右顔面打ち(うらけんさゆうがんめんうち)」でした。
基本稽古の際には、具体的な技を出しやすいような状態から行なうことになりますが、この稽古の場合、両拳の拳頭を自身の胸部の前に向かい合わせ、肘を張るような感じにします。
上の写真では、一方が「裏拳打ち」を行ない、他方の上肢が最初に構えたままの状態になっています。
ここから左右の上肢の様子がお分かりになると思いますが、肘を中心に前腕を動かします。
冒頭の「人中打ち(じんちゅううち)」の場合も同様の身体操作になりますが、ここでも上肢のしなりを活用する意識で行ない、決してロボットのような角ばった動きにならないようにすることが大切です。
この場合のターゲットは顔面部になりますが、そこには複数の急所がありますので、技を放つ際の両者の間合いや位置関係を判断することになります。
次は第1部として稽古した最後の技になりますが、「左右裏拳中段水月打ち(さゆううらけんちゅうだんすいげつうち)」になります。
この稽古の場合、両拳の手の甲を正面に向け、「水月(すいげつ)」の前で拳頭を向かい合わせた状態から行ないます。
前述の「左右顔面打ち(さゆうがんめんうち)」の場合、前腕の軌跡は床とは垂直の角度になりますが、「左右水月打ち(さゆうすいげつうち)」の場合、床と平行になります。
ターゲットは名称通り「水月」になります。
左右の方向に対して放つ技の場合、いずれも目線をその方向に向けて行ないますが、稽古を見ているとそういったところがあやふやな人もいましたので、この点、今後の課題としてしっかり意識してもらうようにしたい思っています。
この稽古の後、第1部で行なった技を活用した応用例とした約束組手を行ないました。
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