「背手受け」から反撃に転じる「二十四歩」の分解・解説の10番。形の動作に準じて稽古 | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 昨日の続きです。

 

 ある土曜日の稽古の話ですが、第1部では「二十四歩(にーせーし)」を「(かた)」として何度も繰り返しました

 

 そして第2部として、その分解・解説の稽古となりましたが、その一つを昨日のブログでお話ししました。

 

 2番目の解釈として教授される技になりますが、今日はこの日に稽古した二つ目の技になり、体系で言えば10番目の技になります。順番通り教えても良いのですが、設定が全く違う技のほうが戸惑わずに済むかと思ったわけです。順番通り行なうことも過去行ないましたが、この日は時間の関係でそこまではできないだろうということからの選択です。

 

 タイトルから技の一部がお分かりになりと思いますが、今回は扇受け(おおぎうけ)」からの変化ではありません

 

 ということは、「形」の途中に登場する個所の解釈となります。まず、この点を確認したいと思います。

 

二十四歩・鷺牌 手刀打ちから背手受け

 

 今日お話しする技に関係する「形」の箇所が上のイラストに挙げたところですが、正整立ち(せいさんだち)」をベースにして「手刀打ち(しゅとううち)」を行なっているところから、奥足を前方に進めて「結び立ち(むすびだち)」になり、その時に「背手受け(はいしゅうけ)」を行なっている箇所です。

 

 武技そのものであれば「背手受け」のところだけで良いのですが、この日設定した条件は、上のイラストの動作を前提にした内容でした。

 

 それで上のイラストをアップしたわけですが、「手刀打ち」のところは正面にいる相手に対して、「背手受け」のところは側方からの攻撃に対処した場合、ということになります。

 

 この流れを前提に、タイトルにある技を稽古した、ということで話を進めていきます。

 

二十四歩 手刀打ち

 分解・解説の稽古ですから、仕掛ける側と受ける側の双方の設定が必要になります。

 

 上に示した様子は冒頭のイラストの左側のところですが、今回の稽古ではこの状態を受ける側にしてもらいました

 

 その場合、仕掛ける側は「手刀打ち」を行なっている側に位置し、そこでは「正整立ち」で中段を意識した構えで受ける側に対峙していることになります。

 

 いつものパターンと違い、ここでは90度の方向に向き合っていることになりますが、側方への気配りが必要な設定になります。

 

 こういうパターンであれば、1対複数を意識する稽古にもなり、より感性を磨くことの必要性を実感させられる設定になります。

 

 この点は感性も関係することになりますので、言葉で理解してもらうには難しいところがありますが、いろいろな稽古を通じ、私も含め高めていければと考えています。

 

 

 ここからは先ほどと異なり、背面側から見たイラストになりますが、受ける側の右方から「上段追い突き(じょうだんおいづき)」で仕掛けている様子はお分かりになると思います。もちろんその際、いつもお話ししているように間合いに留意し、何もしなければ当たる、という状況でなければなりません。ただ、初学者の場合、危険防止から最初は当たらない間合いで行ない、まず動作として覚えてもらい、ブラッシュアップしていく中で間合いについても意識してもらう、というステップを踏みます。

 

 という前提で上のイラストを見ていただきますが、「受け」の瞬間は「結び立ち」になっているので、「正整立ち」から後方の足を前方に引き寄せている、ということがお分かりになると思います。

 

 そこで考えなければならないことがありますが、そういう場合、ターゲットとなる頭部は最初の状態から前方に動いていおり、そのことはそのまま体捌きになります。

 

 もっとも、そこではギリギリまで引き付けておいてから瞬時に動くということが要求され、早く動いてしまえば相手は攻撃箇所の修正を行なう時間を持てるかもしれませんので、ここは胆力という要素が必要になるところです。

 

 こういう稽古の場合、武技全体のイメージングが重要ですが、そのためには見本として示すことが大切なので技の全体の様子を見てもらいました

 

 前述のように、間合いの関係を実際の場合を想定して行ないましたので、イラストに示された接触部位とは異なります。上腕側になりますが、前述のように体捌きの要素も入っていますし、両上肢の長さを念頭に行なうことになります。ただ、タイミングが重要になりますので、そういうところの意識が「見えない技」として重要になりますので、この点をしっかり念頭に置いて稽古することが必要になります。

 

 

 受けた後の反撃ですが、その様子を示したのが上のイラストです。

 

 「背刀受け」を行なった後、返す刀というイメージで「手刀打ち」を行ないます。

 

 「受け」からの流れの中でもいくつかポイントがありますので、昨日お話しした技の場合同様、一つずつ提示してステップごとに理解してもらい、実践する、ということで行ないました。

 

 ということでまず意識してもらったのが、昨日の場合同様、どこをターゲットにするかということです。

 

 大雑把に言えば脇の下付近となりますが、癒しで言うところの経穴と急所は重なります

 

 ということでこの付近に存在する経穴を具体的に説明し、そこをターゲットとして攻撃する、ということで数をこなしました。

 

 複数の部位を示したのは、体格差や両者の位置関係などから攻撃しやすい部位に違いがあるから、ということになりますが、この点は何も言わずにカタチだけを説明した後にやってもらった時に見たバラツキが理由です。

 

 急所に対する攻撃というイメージが無い分、ばらつくのは当然ですが、他の理由でそうなっているケースも見かけたわけです。

 

 となれば、それを念頭に具体的なターゲットを意識してもらうのは必要という思いになります。

 

 ただ、前述の要素は今回のペアの場合ということですから、相手が異なればまた違った意識で行なう必要があります。

 

 でも、ここで急所の意識と複数の具体的な個所についての知識を頭に入れることができれば、相手が異なっても応用できるのではという期待が出てきます。

 

 もっとも、それには違った条件下での数をこなすことが必要で、今回だけの稽古でそこまで意識するのは難しいと思います。でも、どんな場合も初めてということがありますので、そういう理解をし、今後の稽古にも活かしてもらえればと考えています。

 

 さて、受けた上肢をそのまま反撃にも活用するという構造は昨日お話ししたケースと重なります。

 

 となれば、その経験が活かされないかとも思いましたが、結果は無理でした。

 

 カタチだけならできているケースもありましたが、大半の場合、うまく威力が乗らない、といった状態で、それではせっかくのチャンスをフイにする可能性が大です。

 

 たとえターゲットが急所であっても、それなりダメージを与えられるだけの質が必要です。

 

 その場合、よくお話ししている全身を活用する、ということが必要になりますが、極めの時の様子をご覧いただければお分かりのように、土台となる立ち方は「結び立ち」です。両足を揃えた立ち方であり、「正整立ち」のようにしっかり踏ん張れるわけではありません

 

 そういうところもあるのか、どうしても上肢のみの「打ち」となってしまっており、中には「手刀」をターゲットに置きに行っているように見えるケースもあります。

 

 アクション映画で、小さな動作でも大きなパワーを発揮できる技の使い手ということなら別でしょうが、リアルな戦いではそれなりのパワーが必要です。

 

 もっとも、空手で秘技の一つとされる「寸突き(すんづき)」のような場合、短い間合いでもそれなりの効果は得られるでしようが、それはそれでかなりの実力者で無ければ無理でしょう。そして、私が知る限りでは「突き」の場合はともかく、「手刀打ち」でそのような効果というのは耳にしたことがありません

 

 勉強不足なのかもしれませんが、ならば全身の動かし方そのものを工夫し、少しでも威力のある技にすることが必要です。

 

 そのために意識してもらったことが、「結び立ち」ということを逆手にとって、だからこそ身体の中心軸を意識しやすいのでは、ということを想起してもらい、その軸をベースに全身で揺らぎを作り出し、そこに「打ち」を乗せる、という意識でやってもらいました。

 

 その際、帯の結び目の下に垂れている部分の動きを観察したところの見方について説明し、実演を交えて理解してもらいました

 

 また、肘関節を中心とした前腕の動かし方などにも言及しましたが、参考となる画像が無いし、長くなりそうなのでここで終わらせていただきます。

 

 稽古はこの後、組手を意識したメニューになりましたが、その話は明日のブログでお話ししたいと思います。
 

 

 

 

 

 

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