体捌きからの蹴り。相手からの攻撃に対して最初の対応が異なる「投げの形」下段4番の技 | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 昨日の続きです。

 

 といっても正整(せいさん)」の分解・解説の続きではなく、タイトルにあるように「投げの形(なげのかた)」になります。

 

 今回で「投げの形」も残すところ今回を含め、2回になりました

 

 このシリーズが終わったら復習と共にそこからの展開や、昨日のブログのように反撃という流れも考えています。

 

 そういった一つの技を表裏の視点で見ることが、武術としての質を高めると考えているわけですが、その前に基本についてきちんと押さえておくことが必要です。

 

 ただ、研究稽古でいう基本とは、初学者の段階で学ぶような意味でのステージに加え、武技としてのポイントも含みます

 

 実際、ここで行なう技の場合、例えば今回の場合はタイトルからお分かりのように蹴り」が登場します。

 

 となれば、武技の基本としての「蹴り」は当然のこととして、当該技に登場する時の用法上のポイントが曖昧になってはいけません

 

 このブログがそういったところを細かくお話しするのはそういう点からですが、今日もそういう意識で綴っていきます。

 

 この日の「投げの形」の稽古は写真を撮っていません。

 

 ですから、イラストで説明していきますが、その時の両者の様子は以下の画像のような感じになります。

 

 

 受ける側は自然体、あるいは「内八字立ち(うちはちじだち)」で立ち、仕掛ける側は「正整立ち(せいさんだち)」で立ち、突くのに適した構えを取ります。実はこの点、これまでも基本としての行なう場合は今までのような状態で行なったり、今回のような感じで行なったりと、出席者によって少し自由度を持ちせてやっていました。

 

 前述のように、「投げの形」の基本もそろそろ終わりになりますので、次に繋ぐためにそうしているとご理解ください。

 

 もっとも、仕掛ける側の意識については何ら変わらず、「裏三寸(うらさんずん)」のイメージを堅持し、中途半端な技にならないようにしてもらいます

 

 だからこその反撃技であり、そこには武術に必要な間合いの意識が内在されていますので、ここが曖昧になれば受ける側・仕掛ける側双方の稽古の質が低下します。

 

 このブログでは何度も言っていることですが、同様のことは稽古の現場でも同様です。同じ話の繰り返しですので食傷気味の方もいらっしゃるかもしれませんが、大切なことを繰り返すというのは直真塾のモットー、ということでご理解いただければ幸いです。

 

 

 ということで本題に入りますが、今やっているのは相手が「下段四股突き(げだんしこづき)」で仕掛けてきた場合、という設定になります。

 

 上のイラストはその際の最初の対応の方法を示したところですが、タイトルにあるようにここでは「蹴り」が登場しています。

 

 この点、これまでとはパターンが異なりますが、少し詳しく説明すると、「突き」に対して左方向に捌き、相手の前足の膝関節をターゲットに「下段足刀蹴り(げだんそくとうげり)」で対応ます。

 

 これは結果的に「関節蹴り(かんせつげり)」となりますが、この技の場合、関節の破壊まで行なうことも可能です。

 

 本気で蹴った場合、そういう事故にもつながりかねませんのでここでは膝関節を曲げる、という意識でやってもらいました。

 

 それでも変に抵抗すると膝関節にダメージが残る可能性がありますので、ここでは相手の「蹴り」に合わせるようにアドバイスしました。

 

 また、そういう対応は実戦の際に自身の身体を守るための咄嗟の動きとしての活用できるため、そういう身体操作の学びでもある、という意識で稽古してもらいました。

 

 ここでは体捌きを経て蹴ることになりますが、その過程がモタモタしていては武技としての意味が無くなりますので、そういう拍子までも意識した上で稽古することが必要ですし、それが研究稽古でもあります。

 

 ただ、この技を初めて稽古する道場生もいるわけで、そういう意味ではまずは理を理解してもらうため、拍子などの「見えない技」についての意識は次のステップと考えてもらって結構です。

 

 

 稽古はそういう前提で進んでいきましたが、「下段蹴り」の後、蹴った足を相手の後方に置き、同時に首に対して「手刀内回し打ち(しゅとううちまわしうち)」を行ないます。

 

 体捌きからそれぞれの動作を挙動数としてカウントすれば数挙動になりますが、初学者の場合、複数の動作の場合、それぞれがつながる箇所で一瞬間(ま)が空くことが多くなります。しかし、拍子の意識も含め、いかにスムーズに動けるかが大切です。

 

 つまり、アナログ的な動きを心掛けるわけですが、間(ま)の問題が気になる人の場合、それぞれの動きの際に瞬間的に制止するからそのように見えることになりますので、極めの場合は別として、技の過程では威力を落とさず、可能な限り連続した動作になるようにすることが大切です。

 

 そしてそれぞれの技の質をよりしっかりしたものにするためにはターゲットをしっかり捉えることが大切で、そこには急所としての意識と的確なコントロール力を必要とします。

 

 今回の稽古では、上のシーンでのターゲットについては詳しく説明しませんでしたが、2巡目以降の稽古の過程では出席者の状況によってはそこまでお話しする可能性もあります。

 そこから続く動作を表すイラストですが、手刀打ち(しゅとううち)」として用いた上肢を素早く相手の首に巻き付けるように動かします

 

 その場合、「手刀打ち」を行なった時の立ち方では少し間合いが遠くなりますので、上のイラストのように四股立ち(しこだち)」に変化し、少し深く入り込みます

 

 稽古を見ていると、こういった時、上肢と下肢の連動が悪いケースがありましたが、そうなると技を掛ける側の姿勢の乱れが生じ、結果的に投げる時の腕力が中心になってしまいます。

 

 できるだけ腕力に頼らず、全身の合理的な使い方によって技を掛けることを意識してもらいたいので、こういうところが見えたら具体的な身体操作について個別指導を行なうことになります。それが研究稽古として行なう時のプラス面ですが、そういうところをしっかり活用した稽古にしています。

 

 そういうことで土台となる下半身が安定すれば、今度は首の巻き付ける上肢の質のアップを意識することになります。

 その場合、この技の最終形をイメージしたほうが理解しやすいと思いますので、そのイラストを上に示しました。

 

 そこでは技を掛ける側のしっかりした土台を条件に、相手の身体が180度動かされる、といった感じになります。

 

 技を掛ける側の上体の捻りが必要になりますが、変な動かし方になれば相手の抵抗などの関係で技を掛ける側の腰などを痛める可能性があります。

 

 下半身や腰の強さを担保としてハラ・丹田を活用し、上半身を動かしますが、その前に首に回した上肢の状態の質について意識することが大切です。

 

 この点については、これまで稽古した「首投げ(くびなげ)」の場合の上肢の巻き付け方と同じであり、ここではその復習となりました。

 

 すでに何度か教えていることではありますが、設定を変えると戸惑いが見える人もおり、まだ芯から理解しているわけではない、ということで再確認できましたが、だからこそ同じことでも繰り返しアドバイスすることを大切さを再度実感しました。

 

 ブログの場合、言葉のように流れるものではなく文字として残っていますので、先日の記事でご確認いただければと思います。そこまで書くと長くなりそうだからですが、ご了承ください。

 

 ここでこの日の稽古は終了しました。

 

 

 

 

 

 

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