基本の確認、まずは立ち方からスタート。オーストラリアの道場からゲストを迎えて | 中山隆嗣の「活殺自在」

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武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 ある火曜日の稽古のことです。

 

 いつもなら研究稽古として行ない、その時の様子をお話しすることになるはずですが、タイトルにあるようにこの日はオーストラリアのブルーマウンテン道場から3名のゲストを迎えての稽古になりました。

 

 現在、直真塾で稽古している道場生の知り合いで、以前から話を聞いていたとのことです。

 

 それでこの日、来日の機会に稽古に参加したいということになったのです。

 

 こういう時、稽古メニューをどうするかということを考えますが、出席者のレベルが重要です。

 

 状況に合致したメニューが必要で、それによって参加して良かった、と思っていただけるような内容にしたいと考えることになります。

 

 ということで帯の色を見ることになりますが、全員色帯です。有段者はいません

 

 ならば基本の確認からスタートし、そこでは千唐流の特徴や技術的・思想的なポイントが伝わるようにし、かつ身体も動かす、ということを行なうようにします。

 

 そういう意識から基本稽古からスタートしたわけですが、今日のお話はタイトルにあるように、立ち方について綴ります

 

 このブログでよくお話ししている通り、立ち方は武術の土台であり、この点がきちんとしていなければその上に構築される武技の質は低くなります

 

 そういうところを再認識していただくために組んだメニューにになりますが、基本的なところについては全員ご存じです。

 

 そういう点を前提に、今日のテーマについて話を進めます。

 

立ち方

 

 上に一連の左右に開いた立ち方のイラストをアップしましたが、自分の体格に合わせた基本のフォームを学びます。この状態を身体に染み込ませることが大切ですが、最初の段階では毎回同じようにしてその状態を確認します。

 

 今回の参加者の場合、必要なかったようですが、確認の意味で行ないました。

 

 一番上は閉足立ち(へいそくだち)」で、足の親指側をピッタリ着けた状態で立ちます。瞬間的な立ち方として用いられることが多くなります。

 

 2番目は結び立ち(むすびだち)」と言い、「閉足立ち」の状態からかかとを着けたままつま先を開いた状態になります。体育などで「気を付け」と言われた時の立ち方で、この立ち方も瞬間的な時の用いられます

 

 3番目は平行立ち(へいこうだち)」です。「結び立ち」からかかとを外側に開き、足の内側が平行になるようにして立ちます流派によっては。この状態で基本の「蹴り」の稽古を行なうところがあります。足の様子はそのままに、もう少し左右に開いて立つこともあります。千唐流の「(かた)」の中にもそのような個所がありますが、名称は同じです。

 

 4番目は外八字立ち(そとはちじだち)」で、「平行立ち」からつま先を外側に開いた状態の立ち方です。流派によってはこの立ち方で「その場突き(そのばづき)」を行なうところもあります。前述のように、体育の時で言えば、「休め」と言われた時の立ち方になります。

 

 そして5番目が内八字立ち(うちはちじだち)」で、千唐流の基本稽古で多用される立ち方になります。ここまで導くために5種類の変化を経たわけですが、この立ち方がこの後に行なった「その場突き」の際の土台になります。

 

 ただ、武術としての立ち方という場合、単に左右に広げただけの意識では不十分です。

 

 特に千唐流の場合、基本では下肢の締めを重視しており、そのための具体的な意識が必要となります。

 

 ですから、左右の歩幅は前述の通りとして、その上でもっと細かな意識に留意し、立ち方の基本として理解してもらいました

 

内八字立ち

 

 そこで「内八字立ち」について、もう少し詳しくお話ししました。

 

 歩幅は前述の通りですが、つま先の向きを意識しなけれはなりません。やや内側に向けることになりますが、この点が「外八字立ち」と異なるところで、この状態で足の親指側を意識することになります。

 

 そのためには下肢の締めが不可欠で、具体的にはまず膝を内側に巻き込むような感じで動かします。そしてその状態をキープしたまま今度は逆に外側に向けて開くようにします。

 

 一見矛盾した動作になりますが、イメージ的にはタオルを絞るかのような感じで下肢を締めるわけです。慣れないと膝の内側が痛くなることがありますが、内外の締めのバランスが取れるようになれば解消します。このことにより、下肢の筋肉は単に固くしたという感じではなくなり、武技の土台として生きたものになります

 

 その様子を矢印で示してありますが、そのような感じで下肢をコントロールします。

 

 イラストの左側は一方の膝を床に着けた状態になっていますが、「内八字立ち」の歩幅を別の視点で説明した様子です。

 

 ここでは「一膝一拳(ひとひざいっけん)」のスタンスを取りますが、イラストはその様子を表しているわけです。もちろん、今回も同様のカタチで確認してもらいましたが、体格には個人差がありますので、若干の差異が出ることもあります。今回はその様子は見られませんでしたので、そのまま稽古を続けました。

 

 ということで、もう一つ確認した立ち方があります。

 

正整立ち 2

 

 それが上のイラストで示された「正整立ち(せいさんだち)」です。

 

 「蹴り」の稽古の時に用いらることがありますし、組手の時の基本的な立ち方です。今回の稽古でも用いるつもりでしたので、立ち方の確認の段階で一緒に説明しました。

 

 まずは立ち方のポイントについて説明しましたが、そのベースは歩幅です。先ほど、「内八字立ち」のところで「一膝一拳」のスタンスを説明しましたが、「正整立ち」の場合、それは前後の歩幅になります。

 

 この立ち方は前後に開くことになりますが、横方向の歩幅も意識しなくてはなりません。それは肩幅ということになります。

 

 その上で「内八字立ち」のところで意識した下肢の締めの要素を加味することになります。

 

 「正整立ち」の場合、前述のように組手の時に用いられる立ち方になりますので、基本となる3要素についてはきちんと認識してもらわなければなりません堅牢性、自在性、防御性です。正しいフォームとその用法を意識する時、こういったベースになる点は常に意識した上で稽古に臨むことが大切になりますが、こういうことは口で説明するだけでは理解を得るのは難しくなります。

 

千唐流セミナー 2020-2

 

 上の画像は以前行なったセミナーの様子を動画でユーチューブにアップした時の一枚になりますが、「正整立ち」で立っているところに「金的蹴り(きんてきげり)」を行なっているところです。ここでは数回蹴っており、締めを意識した立ち方だけできちんとガードされているわけですが、今回も同様のことを実演しました。当たった時の音がしっかりしますが、何の問題もありません、というところが防御性の証明になりました。

 

 こういうところは、単にカタチを真似るだけでは意味がなく、その質や目的なども含めて数をこなす中で自分の身に付けることが必要で、こういうところを今回の稽古で感じてもらいました。レベル的にまだ難しかったかもしれませんが、これまでお話ししたところは今後の稽古で意識してもらう時の基礎になるところですので、きちんとお土産として国に持って帰っていただこうということでお話ししたつもりです。

 

 こういうところをベースに、基本の「突き」、「受け」、「蹴り」について稽古を続けました。その話は明日以降のブログでお話ししたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

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