ペアを組み、猿臂の用法を学ぶ。全身の使い方を意識し、武技としての質を向上させるつもりで臨む | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 昨日の続きです。

 

 ある土曜日の稽古ですが、昨日はその様子の第1部として「猿臂(えんぴ)」の「その場稽古(そのばげいこ)」の様子を綴りました。

 

 今日は第2部として行なった稽古の様子ですが、第1部を受けてその用法をペアを組んで稽古しました。

 

 「猿臂」という武技は試合ではほとんど見られませんので、せいぜい「(かた)」の分解・解説といった時に稽古されるケースが多くなります。

 

 しかし、昨日もお話しした通り、大変強力な武技であり、接近戦では絶大な効果を発揮します。試合で用いないから稽古しないというのでは武術を意識する立場からは容認できませんので、この日は改めて道場生に武技としての認識をしてもらうためのメニューとなったわけです。

 

 ただ物事には順序がありますので、まず最初は基本となることを再確認するために昨日の「その場稽古」があったわけですが、その過程の次は使い方を学ぶ段階が必要です。

 

 ということで今日のブログテーマになった稽古になるわけですが、ここで紹介・稽古する技についても、同じようなコンセプトでも実際に行なう技について説明はしてもそこまで、という技もありました。

 

 火曜日の研究稽古の場合は最初から本題に入ることがありますが、土曜日の場合は出席者のレベルに差があるため、現実のメニューは調整しています。でも、稽古に対する意欲の継続のため、予習的な意識で見本として見せることもあり、今回もそういうシーンがありました。ブログでは割愛させていただきますが、いずれ実際に稽古した折には、ここでも紹介させていただくつもりです。

 

 ということで本題に入っていきますが、ペアを組んで行なう場合、いかにも約束組手、といった感じで行なう場合と、組手や実践を想定して対峙して行なう場合に分かれます。

 

 今回は後者のパターンで行ないましたので、実際のシーンは下にアップした感じになります。

 

互いに構える

 

 いつものイラストですが、初めてこのブログにアクセスされた方もいらっしゃるでしょうから、簡単に説明します。

 

 組手の時の状態を意識しますので、立ち方は武術としての要素を十分兼ね備えた「正整立ち(せいさんだち)」で立ち、両上肢は中段を意識した構えを取り、対峙します。

 

 もちろん、実際の戦いを意識し、間合いも考慮することが大切です。

 

 この点が曖昧になれば、仕掛けた時の状態が武の理に適っておらず、稽古自体が形骸化してしまう可能性があります。

 

 稽古自体は基本的なところで設定していますので、仕掛ける側は「右中段追い突き(みぎちゅうだんおいづき)」になり、その仕掛けでしっかり相手を倒す、という意識で行なうことが大切です。

 

 ですから、この稽古ではそれが可能な間合いを取ってもらい、行ないました

外受け 1

 前述のように、仕掛け技は「右中段追い突き」で、それに対応する技は上のイラストに示した「右中段外受け(みぎちゅうだんそとうけ)」です。

 

 互いの構えは冒頭のイラストの通りですので、この「受け」は奥手で行なうことになります。

 

 実戦を想定して行ないますので、運足を合わせて行ない、それによって体捌きを兼ねます

 

 具体的には前足を斜め前に踏み出し、そのタイミングで体捌きを行ないつつ、受け流すような感じで「外受け(そとうけ)」を行なうわけです。

 

 こういう時は「」の意識ではなく、「」の意識で行なうことになりますが、前述の運足にそこにも一役買うことになりますが、そのためにはタイミングも重要な要素になり、やはり稽古は目の前の行為だけでなく、武技全体を俯瞰して見、そこに存する理を理解して数をこなすことの大切さを改めて理解してもらいました。

 

 その「受け」がきちんとできたということが前提となり、反撃に移ることになりますが、実はその動きは「二十四歩(にーせーし)」の分解・解説の稽古で経験しています。だから比較的容易と思ったのですが、全員が経験者ではありませんし、また記憶が曖昧、というケースも見られました。数をこなすことが不足してるのでしょうが、稽古メニューの工夫を意識した瞬間でもあります。

 

 

 ということで行なった反撃技の様子が上のイラストで示されています。

 

 相手の「突き」に合わせて運足を伴って受けた後、上肢の状態を変化させ、「前猿臂(まええんぴ)」を放つというものです。

 

 行為として書いてしまえば簡単に見えますが、武技としてのクオリティを意識するには前述の通り、全身を活用することが必要です。

 

 その一つがよく言われる腰の意識になりますが、「受け」から続く動作としてダブルツイストを実践することになります。もちろん連動して上半身の動作も意識しなければならず、外から見ていれば一連の動作が流れるように行なわなければなりません

 

 前述した見本として見せた技ですが、基本的にはここで実践したことをさらに「柔」の意識で行なったものです。最終的にはそのようなイメージでやってほしいところですが、まずは「受け」そのものをしっかりやってもらった上でのことになりますので、「外受け」→「前猿臂」という流れで腰を動きを意識して行なってもらうことになったわけです。

 

 そこでは極めは最後だけになりますので、動作としては2挙動ですが、1拍子の動きとして行なってもらいます。もちろん、その様子についてきちんと見本を見せましたが、どうしても「受け」と反撃の間に間(ま)」が空いてしまうか、上肢だけの軽い動きになるという状態になっています。

 

 今後の稽古に期待し、次に進みました。

 

 今日のブログは次の話までになると思いますが、極め技になったのは「捻り猿臂(ひねりえんぴ)」です。

 

 その前に「受け」が必要になりますが、その様子は下の写真のような感じになります。以前撮ったものですが、雰囲気的に似ていますのでアップします。

 

掌底受け

 

 相手からの「中段突き」に対して「掌底受け(しょうていうけ)」で対応している様子ですが、ここでの仕掛け技は「中段逆突き(ちゅうだんぎゃくづき)」になっています。

 

 しかし、この日は前述のように「中段追い突き(ちゅうだんおいづき)」ですので、この点は異なります。

 

 しかし、対応と反撃については変わりませんので、ブログをご覧の方は頭の中でうまく変換してください。

 

 「受け」の際は前手で行ない、うまく流すような感じにしますが、攻撃は深く踏み込んで行なうという設定ですので、相手の「正拳(せいけん)」は自身の正中線の前方付近になります。

 

猿臂で上腕攻撃

 

 その状態になった瞬間、相手の肘関節よりやや肩方向に進んだところに対して「捻り猿臂」を放つわけです。

 

 「捻り猿臂」という技は、文字通り、上肢の軌道を捻るような感じで上方から斜め下方に動かします。今回は突いてきた相手の上肢をターゲットにしましたが、もっと近間であれば、鎖骨を狙うこともあります

 

 技の軌跡から、フォロースルーをしっかり意識し、接触部位を打ち抜くような感じで行ないます。

 

 もちろん、稽古ではそのような感じで行なうことはありませんが、ゆっくりそのイメージで動かしてもらいました

 

 とは言っても、接触した時点で動きが止まり、結果的には当たってから間(ま)を空けてその後の動作に続ける、といった状態になっています

 

 それでは武技という感じにはなりにくいので、指導員に相手役になってもらい、ゆっくりではありますがフォロースルーを意識した時の感じを全員に見てもらいました

 

 ゆっくりであっても止めずに行なうと筋肉を切られるような感触があるためか、思わず声が漏れ、一瞬顔も歪みました

 

 そこからこの動作のイメージができたのではないかと思いますが、各自の癖がありますので、このことで全員の技が変化した、というわけではありません。「捻り猿臂」自体、あまり稽古する技ではありませんが、今後折に触れ登場することになると思いますので、その時に期待したいと思います。

 

 稽古はこの後、「上げ猿臂(あげえんぴ)」の場合ということで行ないましたが、参考となる画像が無いことと、長くなりそうなので今日はここまでにさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

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