蹴りの大技、飛び蹴り! 当たれば効果大、でもリスクも大 | 中山隆嗣の「活殺自在」

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 今日のテーマも「蹴り」です。


 このテーマは今日で3回目になりますが、最初は基本の4種の「蹴り」、続いては近間で行なう「蹴り」や「変則蹴り(へんそくげり)」の類でした。「変則蹴り」については他にもありますが、今回は割愛しました。いずれ別の機会でお話しできればと思います。


 そして迎えた今日の話ですが、タイトルにもあるように「飛び蹴り(とびげり)」がテーマになります。


 基本的には地に足を付けて行なう「蹴り」を飛んで行なう、という感じになりますが、全てそれが可能というわけではありませんし、「飛び蹴り」自体の留意点もあります。


 その全てをブログでお話しすることはできませんが、基本的な考えたかも含め、いくつかご紹介したいと思います。


 「(かた)」の中に登場する「飛び蹴り」としては、千唐流では「鎮東(ちんとう)」にある「二段蹴り(にだんげり)」が代表的な技になります。


二段蹴り






















 飛び上がり、空中で2回蹴ることになりますが、高さや距離を状況に応じて蹴り分け、戦いに勝利することを意識します。


 もちろん、武技として行なう行為は、全て戦いを自身が求める結果に持っていくために行ない、それぞれの条件下で最適のクオリティを求められますが、「飛び蹴り」の場合、両足が地に着いていない分、結果が不十分だったり、空中にいる時に相手から何らかの技を合わせられたりした時の対応が非常に難しく、下手するとカウンターをもらうことになります。


 そういう大きなリスクを背負って行なう技ですから、簡単に出せる技ではありません。


 用いる条件はかなり限られ、相手が死に体になっている場合や、自身の攻撃に押され、後退している際や精神的に圧迫されている時など、自身が優位な立場になっている時の技になります。


 また、外れた時のことも念頭に置いて仕掛けることも要求され、事後体の状態まで考えておかなければなりません


 もちろん、武技一般で意識するしっかりしたコントロールも要求されますが、空中ではそのコントロールは難しいので、稽古の段階から体操的な感じではなく、きちんとターゲットを狙う意識で行なうことが必要とされます。


 ただ、武技として慣れていない場合、どうしてもターゲットに触れることを意識することが多くなり、当たっても大した効果は得られない、といった感じになることが多々見られます。


 本来は、体重を効果的に活用されるべき技なのですが、中途半端な意識からその特性を活かせない可能性もある、というわけです。武技の支えになるところがない、という技ですから仕方ないのかもしれませんが、そういうことを含め、一般的には自分よりも実力的に上位にいる相手に対して使うべき技ではないと言われています。


 それでも稽古としては使っていかなければ本当に使えない技になってしまうわけですが、実際に用いる時には連続技の中で、というパターンがあります。


二段蹴り


















 上の写真は私が二十歳前後の頃に行なった組手の様子ですが、「二段蹴り」を放っています。

 当時はバネもありましたので、それなりの高さを飛んでいますが、こういう時にはいきなり行なうことはしていませんでした


 私がよく行なっていたパターンとしてはまず「前蹴り(まえげり)」で仕掛け、相手が後退するようにします


 狙い通りにいかない場合は別の技に切り替えますが、相手が攻撃に勢いに押され、後退すればその時点で死に体になっている、あるいは気持ちの上で押されていることになりますので、その後退の状態に応じて高さや間合いを考慮して蹴ります


 相手としては「後の先(ごのせん)」を意識し、着地したところを狙う可能性もありますが、そういうところまで考えて蹴ることの大切さは前述の通りです。この時のことは覚えていませんが、もしかするという展開だったかもしれませんが、場合によってはその後に「突き」を連続したかもしれません。そういうパターンはよく行なっていましたので、それもあり得ることです。


 こういう時は精神的にこちらが押している時ですが、実際の戦いでは瞬時に攻守が入れ替わることもしばしばです。


 だからこそ、稽古ではいろいろなパターンを想定し、またそれを念頭に数をこなすことが大切になるのです。特に「飛び蹴り」の場合、タイトルにもあるように、リスクが大きい技になりますので、この意識と実践はとても重要です。


飛び足刀蹴り 1















 空手道で「飛び蹴り」と言えば、上の写真に示した「飛び足刀蹴り(とびそくとうげり)」をイメージする人が多いでしょう。


 今日のブログで最初にお話ししようかとも思ったのですが、私自身は前述の「二段蹴り」をよく使っていたので順序を入れ替えました。


 ご覧のように飛んで「足刀蹴り(そくとうげり)」を行なう技ですが、高いジャンプ力を有していれば、自身の体重を効果的に活用できます上方から蹴り下げるような感じで行なうことになりますが、やはり蹴るタイミングがうまく合わなければ、飛んだ効果は得られません


 一般の「蹴り」のように、蹴る際に微妙な調整をすることが難しいので、「二段蹴り」同様、やたらと使える技ではありません


 それでも使えるタイミングがありますが、やはり相手を追いつめて連続技として行なうパターンです。


 私が「二段蹴り」を行なっている相手は先輩になりますが、実は「飛び足刀蹴り」を得意としていました。互いに「飛び蹴り」を磨くといった感じで組手であえて使っていましたが、もちろん稽古ですから威力の加減はします。それでも場合によっては多少は当たることがありますが、その辺りはお互いさまということで了承しています。状況によってはそこで組手が終了することもありましたが、今となっては良い思い出です。


 そこでその先輩がよくやっていたパターンですが、私の「二段蹴り」が「前蹴り」に続けて行なう時と似ており、足刀横蹴り(そくとうよこげり)」で蹴込んできた後、その勢いで「飛び足刀蹴り」を行なうという、構造的には同じものでした。やはり相手が後退し、勢いがついて、しかも間合いが取れた時、ということになりますが、単独でいきなり蹴るということではありませんでした。


飛び足刀蹴り 4















 タイミング的には下肢が伸び切っていない「飛び足刀蹴り」でありますが、相手を置いて蹴っている様子です。


 以前撮った写真ですので、飛んだ高さのピークを過ぎたところかどうかは分かりませんが、上空から蹴り落そうとしている感じがお分かりになると思います。


 もちろん、こういう時には当てないように間合いに留意して行ないますが、こういう稽古の時には、受け役になっている側が反撃の稽古を行なうことがあります。


 この時がどうだったかは覚えていませんが、そういうことは互いの事後体によって判断されることになりますので、いずれの立場でも、それが自分の稽古になるような意識で行なうことが肝要です。









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