6月8日、令和初、2019年度前期の昇級審査を行ないました。今日はこの時の様子をテーマに綴っていきます。
今回は受審者の数が少し少なく、50名少々でした。でも、三鷹・吉祥寺・昭島の3道場から集まり、父兄の方を含めると100名超という結構な人数になりました。
審査会の際、全員で礼をした後、何かしらのお話をすることになっています。上の写真はその時の様子ですが、今回は審査に関する注意点の後、先日川崎で行なった殺傷事件に関係したお話しをしました。
そこでは武術を学ぶ者の心得として、また現状で何ができるかということを踏まえた内容になりましたが、たとえ空手を学んでいたとしても、小学生ができることは限られますし、凶器を持った暴漢に立ち向かえるわけはありません。
どうやったらその現場から逃げることができるか、ということを考えなければなりません。
いろいろな方面から考えなくてはなりませんが、子供たちが現実にできそうなこととしては、大声で助けを呼ぶことです。
事件後、ある番組でこういう事件の際、大声を出して助けを呼ぶということはきわめて少ない、という話がありました。
防犯グッズの一つに、大きな音を出すものがありますが、それが人間の声で、しかも助けを呼ぶものであれば、大きな抑止力になる可能性があります。幸い、空手道の場合は大きな気合を入れることを教えていますので、今回も審査に絡め、そのことの大切さを改めて説きました。
この種の内容については、お話ししたいことがたくさんありますのでブログでは書き切れませんし、その場でも簡単にしか説明できませんでした。そのためここでお話を止めますが、川崎の事件は武術家としてもいろいろ考えさせられる内容を含んでいました。
話を本題に戻します。
具体的な審査科目は基本からスタートです。
上の写真は全員で「その場突き(そのばづき)」を行なっているところですが、立ち方や「正拳(せいけん)」の握り方、技のクオリティなど、受審ランクに応じた視点でチェックします。
人数が多くて大変そうに感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、たくさんの人数にやっているらこそその違いが明確に分かりやすくなります。
どこに誰がいるかについては、受審リストの通りに並んでもらっていますので、間違えることはありません。ここでは元気な声が会場一杯に広がりました。
上の写真も「その場突き」の様子ですが、写っている人たちを見ると少年部には見えません。
実際、写っている人たちは一般部の道場生ですが、本来、土曜日は一般部の稽古日です。
そのため、有志が集まり、審査会の後ろのほうで稽古を行なうことになりました。
指導に関してはご覧のように別の指導員に任せ、今回は基本から「形(かた)」、そしてその分解・解説まで行なってもらいました。
その内容については帰り道の話で聞きましたが、私が指導したわけではないのでブログでは割愛させていただきます。
審査は基本だけでなく「形」もあります。
千唐流の場合、「形」以外には「基本動作(きほんどうさ)」や「基本型(きほんかた)」もあり、審査科目にも入っています。
上の写真は「回し蹴り(まわしげり)」の様子ですが、これは「基本型Ⅱ(きほんかたに)」に入っています。
「四連蹴り(よんれんげり)」の中の一部ということになりますが、こういうところではバランスのとり方もチェックされます。
そこにはきちんとした中心軸の存在が必要とされますが、千唐流の稽古体系にはその養成のためにいろいろな工夫がされています。
受審級が上がってくると、組手が審査科目に入ってきます。
ただ、その内容には2つあり、それは約束組手と自由組手です。
上の写真は前者の様子ですが、ここでは「突き」、「蹴り」、「受け」の組合せで行なわれます。
約束事とはいえ、それなりの迫力が要求されることになり、適切な攻防になっているか否かをチェックします。
具体的な技の組合せについては当日、その場で指示することになりますが、実戦ではいろいろな技が繰り出させれるわけですから、いろいろな設定に対応するだけの応用力は必須です。この点も審査の具体的内容になります。
最後が自由組手の審査です。
千唐流のルールで行なわれますが、各種大会で上位入賞者を多数輩出している直真塾の場合、稽古や審査のレベルでも良い動きをする道場生がいます。
今回もそうでしたが、ある組み合わせでは「上段突き(じょうだんづき)」がカウンターで見事に極まりました。
その場で座り込んでしまい、続行させないほうが良いと判断しましたので、棄権ということで対応しました。
他の受審者の組手の様子を見学しているうちに回復し、審査後のアドバイスやいろいろな動きには何の問題もありませんでしたが、強烈なカウンターの攻撃に驚いた、というところもあったのかもしれません。
審査は自由組手をもって終了となりましたが、次回は12月頃を予定しています。
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