新入門生、礼法からスタート | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 先日、直真塾に新しい道場生が入門しました。


 こういう場合、経験者か否かで対応が異なりますが、今回の場合、未経験者です。


 となれば、他の道場生と一緒の稽古はできません。経験者であれば、とりあえず一緒に身体を動かしてもらいつつ、千唐流との違いをその中で理解してもらう、といった感じで進みますが、今回はそういうわけにはいきません。


 本当の基礎の基礎からスタートということになりますが、そうなると礼に始まり礼に終わる」という武の習いに従い、礼法から理解してもらうことになります。


 新しく入門される方の場合、すぐに具体的な技を学べるのでは、と思われるケースも多いのですが、直真塾では武としての意識が高いため、基本的な部分を重視します。


 それは今日のテーマである礼法も含みますが、実際、この部分だけでもきちんとした稽古になるのです。


 奇しくもそのことを体験していただくことになりましたが、正しい動作を意識してもらおうとしてもふらつきが出ます。その自覚の有無がどれくらいかは分かりませんが、見た目は明らかに身体の使い方に問題があると言えます。


 具体的な武技は、基本となる身体操作がどこまで可能かというところがベースになりますが、礼法の時点でふらつくようでは、基礎の基礎の部分で時間を要することになります。


 習う側として課程が進まないことが気になるかもしれませんが、こういうところを疎かにしていては砂上の楼閣になります。基本の部分に関しては数をこなし、少しずつ身体の使い方を身に付けていかなくてはなりません。それができれば次のステージに進むことになりますが、何事も基本が大事ということで理解してもらう必要があります。


 ここから具体的な稽古の内容ですが、他の道場生もいますので、まずはできなくても一緒に礼をしてもらうところからスタートしました。


 私は新入門者への個別指導を行ない、指導員に他の道場生の稽古を任せました。そこでのテーマは基本で、主として運足を意識した移動稽古が主体でした。その時間は1時間弱という設定で、私はその様子を横目で確認しながら礼法の説明や実際に身体を動かしてもらったわけです。


 その際、みんな一緒にやってもらった時のことを思い出していただきながら、礼法の文化的な説明にも及びました。空手道を文化としても考えている直真塾にとっては当然のことですが、こういう部分は単なる行為としてだけでなく、そこに魂を入れるために必要と考えています。


立礼

























 実技として最初に説明したのが「立礼(りつれい)」です。


 上にその様子を示したイラストをアップしましたが、直立した状態で腰から前傾させます。


 ずっと稽古している人にとってはいつものことなので自然にできますが、初心者の方にとってはこれだけでも難しいところがあります。


 今回のケースで言えば、土台となる立ち方の意識が不十分な為、「結び立ち(むすびだち)」ができていません。


 かかとを着け、つま先を約60度くらい開く、という説明をしますが、これは学校でも教わる「気を付け」の時の立ち方です。


 ただ、日常では意識しない立ち方ですので、時間が経過していれば初めて同然になります。そのため、何度かつま先の開きやかかとの意識についてアドバイスしました。


 でも、そういうことに注意し、立ち方を正すと今度はふらつく、という様子が見られます。こういうところの改善が礼法も稽古になる、という具体例になりますが、そういうことをきちんと理解していただければと思っています。


 また、礼の際の角度についてもお話ししましたが、基本はイラスト通りです。


 でも、実際に意識しなければならないこととしては、常に相手を意識することであり、間合いによっては礼の角度は多少異なるケースがある、ということもお話ししました。


 さらに、礼の際、必要以上に首が曲がるケースもありますが、その問題点についても説明し、腰から上の部分はしっかり伸ばした状態で行なうようにということも理解してもらいました。


座礼









 続いて「座礼(ざれい)」ですが、まず「正座(せいざ)」することが大切です。


 そこにも武としての作法があり、また意味もあります


 最初から詳しく説明しようかとも思いましたが、まずは所作をしっかり覚えることが大切なので、そちらのほうに時間を割きました。


 ここでは前述の通り、まずはきちんとした「正座」の仕方を繰り返し稽古してもらいました。


 冒頭お話ししたように、実際に動いていただくとふらつきが散見されますので、まずはこういうところの改善が必要です。「立礼」でふらつくならば、下肢を屈曲して座るというところでも同様だろうと思っていると、案の定そうでした。


 下半身の弱さがそうさせるわけですが、ここでは特に所作の中では特につま先のコントロールに留意してもらいました


 上のイラストで言えば③のところになります。そして、その前の②のところでも、片足だけですが同様につま先の意識が必要です。


 そのため、この点は何度も注意しましたが、所作を通して行なうとつい忘れてしまうようで、なかなかこの点が上手くできません。


 それがまた土台としての下肢の弱さにも通じ、これまではその弱さの部分を具体的な体験していただくこともありましたが、今回はそこまでは行ないませんでした。


 というのは、基礎体力的なところ、あるいは末端まできちんとコントロールするというところができていないからで、前述の体験以前の状態だったからです。


 もう少し稽古を積み、少しずつ下半身の強さが養成されればその時点で武技につながる話として体験していただくことになるかもしれませんが、全くの初心者ということで、内容的にオーバーフローしないように配慮しました。


座礼










 そして実際に礼をしている様子が上のイラストに示してありますが、「座礼」の具体的な状態です。


 「正座」から展開していくわけですが、まず左手を床に着き、その後に右手を着きます


 手は三角形を作り、その頂点を見るような感じで頭を下げます。首が丸くならないように注意し、身体を起こす時は礼をする順序と逆に行ないます


 今回、「正座」の際の細かなポイントまでは言及しませんでしたが、次回は復習を兼ねて説明しようと思っています。


 この後、立ち方について説明し、それぞれの名称とポイントを簡単に説明しました。その上で「礼法」と合わせて何度も自身で繰り返してもらい、必要に応じて他の人たちの稽古の様子を見学してもらいました。それを武術では「見取り稽古(みとりげいこ)」と言い、今風に言うならばイメージトレーニング、ということを説明しました。しばらくはこういう流れでゆっくりと進んでいくことになります。







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