四方割で「転」を意識する | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 火曜日の稽古の話です。


 この日は終日、「転」を意識した稽古になりました。この意識は千唐流の特徴とも言えるものであり、そこから得られる武の要素はたくさんあります。この日の稽古は、その一端に触れてもらえれば、という意識で行ないました。


 稽古の流れとしては、まずタイトルにある「四方割(しほうわり)」を行ない、続いて同じテーマを持つ「基本型Ⅲ(きほんかたさん)」になりました。そこから2組に分け、再度「四方割」や「基本動作(きほんどうさ)」を確認したり、ペアを組んで「転」を意識した組稽古を行なう、ということを行ないました。


 その中から今日は「四方割」の話になりますが、それ自体はこれまでも何度かお話してきました。しかし、同じことでも視点を変えれば新しい発見はあるもので、今日はそういう意識で綴っていきたいと思います。


 「四方割」というのは、その名称通り演武線は「+」で、四方に転じながら行ないます


四方割 転身部分













 その典型的な動作の一つが上のイラストで、「下段四股突き(げだんしこづき)」の後に180度転身して「交叉立ち(こうさだち)」になり、「裏拳打ち(うらけんうち)」を行なっています。


 まだこの動きになれていない人の場合、「裏拳打ち」が「中段外受け(ちゅうだんそとうけ)」のような動作になることが多く、2組に分けた後に再度この型を稽古した組ではしっかり注意してもらいました。


 ここでの動作は、相手からの「中段突き」に対して、「受け」と反撃を同時に行なう交差法的な用法として行なうものであり、拳の位置も「中段外受け」の場合よりも少し低くなります。当然、拳のコースも「受け」の場合と異なり、顔の正面を鼻の前を通って打ち落とすような感じて行ない、そこに「丹田」の操作を加味して、重い「裏拳打ち」になるようにします


 こういう身体操作は見ているように簡単ではなく、大体は手打ちになってしまいます。スナップも効いていない状態のことが多く、アドバイスする箇所の定番になっています。


四方割 転身


















 冒頭のイラストのように、180度の転身ばかりでは四方に動くことはできません。この型に四方という言葉が入っているのは90度転身のところがあるからで、その様子を上のイラストに示してあります。


 「下段四股突き」から「交叉立ち」になって「裏拳打ち」を放つというところは最初の説明と一緒ですが、転身時の運足が異なります。


 こういう時よく行なうのが、足を引く時に大きく引きすぎることで、本来は転身して向いた方向と反対側に位置するようにしなければなりません。ところが、その意識がなければ深く引きすぎ、上のイラストで言うと方向転換した際、左側深くに奥足が位置することになります。


 これはここから続く技に支障を来たすことになりますし、「交叉立ち」一般の視点からもこの状態から転じる動作に問題が生じます。


四方割 前蹴りから四股突き













 それに関係するが上のイラストに示してあり、「交叉立ち」のところから「中段前蹴り(ちゅうだんまえげり)」を放ち、続いて「下段四股突き」を放つという連続技のところです。


 この場合、「突き」のところは直接的に関係するわけではありませんが、「前蹴り」のところは足の置き位置が前述のようになっていれば軸足に引っかかるような感じになり、自らバランスを崩すか、引っ掛からないように蹴ることで「蹴り」として質を落としてしまうことにもなりかねません。


 この日の稽古では、この部分に関して質問がありました。それは、蹴った後の身体操作の部分ですが、着地と同時に足を滑らせるようにするか否か、ということです。答えはイラストをご覧いただければ滑らせて全体を移動させますが、身体操作の稽古としては段階があります。せっかく蹴った後の動作なのですから、ここは「突き」に体重を乗せる感覚を養なうということができる箇所です。


 最初の段階で着地と同時に足を滑らせ前進することまでも意識すれば、せっかくの体重を活かすという身体操作の部分が体得できなくなります。


 中国拳法に「沈墜勁(ちんついけい)」というパワーの出し方がありますが、そこでは体重を落とす事だけではなく、上のイラストのようにそのパワーを前進する時にも乗せることが必要です。その意味では上のイラストのような身体操作が必要になりますが、稽古として行なう時には前述のように段階がありますので、まずは「丹田」をしっかり落とす意識を持ってもらうため、着地の際にはそのまま体重を落とすイメージで、と答えてあります。ある程度体重のコントロールができるようになった時点で次のアドバイスをすることになると思いますが、それまではまず体重を落とすことを意識してもらうことにしました。


四方割










 この型で「転」を意識する箇所は他にもあり、それが上のイラストで示してあります。


 180度転身して「拳槌打ち(けんついうち)」を行なっているところですが、冒頭の動作のように90度の転身の箇所もあります。


 この動作の場合、上肢の動きから中心軸を乱しやすくなる分、最初の動作よりも注意しなければなりません。その為には肘のコントロールが必要で、その実践ができるかどうかがポイントです。当然、稽古でもその点はしっかりアドバイスし、中心軸の乱れが出ないようにしもらいました。


 さらに、極めが甘くなり、上肢が流れないようにしてもらうことも大切です。武技としても必須のポイントになりますので、転身を意識しつつ、あくまでも武術の稽古としての認識で行なってもらいました。


 稽古はさらに「基本型Ⅲ」に続きましたが、今日はここまでにしたいと思います。






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