腹這いのままで、女性たちがはいてきた、それらの靴を、交互にながめ、じっくりと観察する。まず、パンプスのはき口に鼻を近づける。足の脂汗の匂いもふくまれているのだろうが、基本的には石けんの甘い匂いがする。きれいな女性の足とは、こうも香しいものなのか、とあらためて思う。
ヒールの高さは五センチほど。踵は細め。先はとがっている。パンプスに手をふれる。仕事と割り切ってはく、値段と機能性重視の靴だと、なんとなく、それはわかるが、それでも合皮ではない、本革だった。靴表面の甲の部分に、わずかな履きジワがある。つま先あたりに目を移すと、彼女の足指を縁取ったふくらみがある。パンプスの皮の表面を指先でなぞり、その感触をたしかめなながら、目をとじると、あたかも彼女から踏まれている気になる。この靴で踏まれて死にたい・・・、と心底、そう思う。 (下書き原稿)
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