人間失格 | 混濁

混濁

あまり役に立たない感じの映画の感想

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人間失格

議員の父親を持ち、津軽では有名な資産家の御曹司・葉蔵(生田斗真)は人間関係がうまくいかず、周囲に溶け込むためにわざと失態を犯して笑いを取る日々を送っていた。高校に入った葉蔵は遊び人の堀木(伊勢谷友介)や詩人の中原中也(森田剛)と出会い、酒や女におぼれる放蕩(ほうとう)生活を送るようになって、精神的に疲弊していく。(yahoo!映画)


原作は多分2,3年前に読んでぼんやり覚えている程度。でも結構好きだなあと思ったぐらい。
特に太宰ファン!というわけでもないです。


…なんですが、まず思ったのが、「これじゃない…」っていう。
私が読んで感じた(記憶にある)人間失格とはまた別のモノという感じが。

生田君と伊勢谷さん目当てに見た部分も結構あるのでその点では満足なんですが笑、
お話としてどうか?と言われると、
映像化は困難と言われた、というのも納得な出来でしたね。つまりまったく伝わってこない。


原作をぼんやり覚えてる程度だった自分が言うのもアレなんですが、原作は同じどうしようもない主人公であっても、やっぱり最後まで読まされる力があったんですよね。
めんどくさい人間だなとか思いつつもどこか共感してしまうような部分もあったりして。
で、映画版はどうかというとただの金持ちの甘ったれが堕落していっているだけで、面白くない。見始めちゃったから最後までみるけど、っていう。


確かに画として美しい場面も多かったです。
でも、それだけな感じ。
映像の美しさとお話が相俟って、みたいなことはない。



子供の頃もなぜあんなに唐突な感じにしてしまったんだろう。
唐突に「生まれて、すみません。」って言ったところでインパクトこそあるが彼の人となりが伝わってくるわけでもなし。


と、ここまで書いていたら監督のインタビューを読んでズバリ私の感想が言い当てられていてびっくりした。笑


荒戸源次郎監督
今回、取り組んでみて思い知らされたよ、これまで映画化されなかった理由を。第一に、太宰の小説が巧妙だということ。あの一人称の文体でグイグイくる。読点の付け方、漢字にするか平仮名か、あらゆることを計算しつくしていると思います。結果、読者を「この気持ち分かる」「これは私のことだ」と物語に引きずり込んでしまうんです。読者それぞれが自身の「人間失格」の画と音を持っているわけだから、どんな映画を作っても誰かが「これは違う」と言うだろうね(笑)。ああ厄介だ(笑)。

生田斗真主演『人間失格』公開記念 荒戸源次郎監督インタビュー
(http://yaplog.jp/yapcinemage/archive/486 )


ほんと、まさに これじゃない=これは違う 笑
だから、自分の中の人間失格と当てはまった人にとっては素晴らしい映画化だったのかもしれないですね。


それにしても、原作読んだことない人にももう少し伝わるようなお話にすべきだったんじゃないかなあと思います。


まあ、なんだ、ほんと「これじゃない」に尽きますよ。笑
オススメはしません。退屈だから。
伊勢谷さんと生田君のファンならまあ、美しい顔が見られればいいの!って人にはオススメ。


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