【電車の車掌さん】 | 超無名だが…やたらチャンピオンになる子達と縁あるトレーナーのブログ

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これからボクシングを始めたい!
既にやっているけどもっと上手く強くなりたい!
そんな人達に今までの経験をもとに皆様に何かの気づきがあればとブログを立ち上げました。
よろしくお願い致します。

皆さんこんにちはニコニコ

 

 

最近は風がめちゃくちゃ強くないですか?アセアセ

もう春が近づいて来てる証拠なんでしょうかクローバー

 

 

てことでブログいってみましょ~

 

 

皆さんは後楽園ホールでボクシング観戦をしたことがあるでしょうかウインク

 

後楽園ホールに足を運びボクシング観戦をしていると、様々な声が飛び交っています。

 

選手達の家族、友人達の応援する声…そして、セコンド陣の声などである。セコンドは観客とは違い常に冷静に試合の状況、選手の状態を把握しながら、その都度的確な指示を出さなければならない。

だが、あの盛り上がった観客たちの大声に負けないように選手に声を届かせるのは、なかなか大変な事でもある。

 

人気ある選手同士の試合や、タイトルマッチになったらお互いの応援団も多いので、セコンドの声もかき消されてしまう。

 

こちらも声援に負けないように大きい声を出すので、試合が終われば声が枯れているなんてよくある事だ。

 

 

私がまだ新米のトレーナーだった頃、インターバルで帰ってきた選手に「俺の声が聞こえているか?」と聞いたことがあった。

 

選手は「聞こえてないです…」と返してきた…

私の中では大きな声で指示をだしていたつもりだったが、試合に集中していて声が聞こえなかったのもあるかもしれないが、このままではいけない…(元々、私の声質もそんなに通る方ではないが)

 

どうにか、あの大声援の中でも声が通るようにしなければ…と考えていた…

 

そんな時、自宅でテレビを見ていると「どうして電車の車掌さんは鼻声なの?」みたいな企画をやっていた!

理由は電車に乗っている乗客に声を聞き取りやすくする為だというではないか!

 

私はピン!ときた!「なるほど、確かにあれだけ廻りの雑音があるのに車掌さんの声は聞こえるわ!」(昔の車両は音がうるさかった~)

 

そう思うと、八百屋さん、築地の競り、アメ横の「安いよ安いよ~」のお兄ちゃんの声も鼻声か?

確かにすっごい通っているな!これは使えるかも!

 

 

早速、セコンドに付いた時の声を鼻声にしてみた。

「ラスト1分~」「ラスト30~」他の指示もすべて鼻声!

 

鼻声はしっかりと選手に届いていたニヤリ

 

ある試合で「〇〇!」と名前だけ呼んでその後にすぐ声を掛けないことがあった…

選手は「はい!」と試合中にこっちに振り返ったアセアセ

 

「あほかアセアセこっち見るな!」

 

試合中に鼻声で名前だけを呼ぶのは危険だな汗と思う出来事もあった…

 

 

こんな事もあった…

 

ある選手の引退するきっかけとなった試合のセコンドに入った時だ。お互いに一歩も譲らず激しい打ち合いの内容だった。

 

常に接近戦…打って打たれて、打たれて打っての繰り返し…

後半はほぼノーガード!「ガード上げろ!」の私の声に選手も反応する。

この時、私の手にはタオルが握られていた…

一緒にセコンドに付いてくれていた関会長は「もう投げろ!」と言っていた…

 

 

セコンドの役目は沢山あるが、一番大事なことは…選手を無事にリングから降ろし…

愛する家族の元に歩いて返させること!

 

 

しかし、選手の眼はまだ生きている!

レフェリーも止めるか止めないか…タイミングを計っている…

結局、最終ラウンドまで縺れ、結果は判定負けだった。

 

試合終了後は選手たちを称えるように両応援団から拍手が鳴りやまなかった。その試合を最後に私の選手は引退した…

 

 

後日…彼の知人から聞かされた言葉があった。

「岡さんの声…すごくよく聞こえて励まされ力が出た、最後まで頑張ることが出来たんだ!」と…いった内容であった。

 

私は嬉しかった!私の声がしっかりと届き、いつ倒されてもおかしくない内容の試合を最後まで戦い抜く事が出来たのだから…

 

 

しかし、実際は複雑な心境でもあった…

あれだけの乱打戦で倒れず、我慢に我慢してずっと立ち続けるという事は、パンチのダメージの蓄積は相当な物になってしまう。

 

ボクサーは選手時代よりも引退後の生活の方がはるかに長い…

選手の将来も心配であるが…彼が最後まで倒されずリングに立ち続け、悔いなく引退出来たのもまた事実である。

 

 

そして…

彼に力を与えた私の声は「電車の車掌さん」のおかげだった照れ

 

 

 

終わり

 

 

(今回のブログは過去の原稿より抜粋)