今年、上野動物園にパンダの赤ちゃんが誕生しました！
日中親善大使の意味もあるこのパンダちゃんですが、
もし･･･
いや、もし･･･の話ですが、
そのうち一匹の健康状態が悪化したらどうなるのか。
今日はそんなお話です。
今日のお話はパンダじゃなくてゴリラのほうです☆
中国から借りた、絶滅寸前のつがいの２匹の白ゴリラ。
名前はフェイフェイ（オス）とチャイチャイ（メス）。
だが日本に来る途中、病気によってオスのフェイフェイは
容態が悪くなってしまった。
中国との国交にヒビが入ることを恐れた外交官（坂東八十助）は、
ある一人のお笑い芸人（勝俣州和）に目をつけたのだった。
彼は売れない芸人だったが、
ゴリラの物マネがとてもうまかった。
そこで、彼に白ゴリラの着ぐるみを着せて、
フェイフェイの体調が戻るまで、
高額のバイト料を与えて、白ゴリラに成りすまし、
メスのチャイチャイと共に日中親善大使として
各種のイベントに参加させる作戦をたてたのだ。
メスのチャイチャイは、フェイフェイの異変に知ってか知らずか、
甲斐甲斐しい態度（求愛行動？）をとるので作戦はうまく行った。
しかし･･･数日後。
オスのフェイフェイは入院先で容態が戻らず
死んでしまったことで、プランの変更が余儀なくされた。
政府は、予定を変更し、急遽２頭の白ゴリラを中国へ
変換することを決定。
そして、芸人には通気性の良い新コスチュームの試着と称して
睡眠薬を与え眠らせた後で、ある「試み」が行われた。
それは、新しい着ぐるみではなく、
死んだフェイフェイの皮膚を直接縫い付けるという
恐ろしいプランだったのだ。
芸人は目が覚めたとき、自分が檻の中にいることに気づき
檻の外の外交官から全てを聞かされた。
外交官がプランの立案者であったこと、
しかし、今回の皮膚移植に関しては
外交官もまったく知らなかったことで
外交官の意見が届かない「高度な判断」による
所作であったのだ。
「すまなかった･･･！」
外交官は芸人に頭を下げた。
自分の運命を悟り、輸送トラックで空港に運ばれている途中、
芸人は決死の覚悟で逃げ出そうとした時、
なんとメスのチャイチャイが助けてくれて
芸人はまんまと脱走することができたのだった。
逃走する芸人が後ろを振り返ると
トラックの中から寂しげな表情の
チャイチャイが見ていた･･･。
自宅に戻った芸人は、縫い付けられた白ゴリラの皮膚のために
もう元の自分に戻れないことを自覚し、
部屋の中のものを投げつけ、引き倒し、ぶちまけた。
そこへ唯一の理解者である外交官が部屋にやってきた。
空港－。
チャイチャイが、ただ一匹で飛行機に搭乗する寸前に
芸人の白ゴリラが姿を現し、空港内は騒然とする。
芸人は今回の黒幕となる官僚たちを見つけては
張り倒すと、チャイチャイの元にかけより
二匹の白ゴリラは人目もはばからず抱き合った。
芸人は、助けてもらったメスゴリラに対して
愛情をいだき、一匹のオスゴリラとして
生きていくことを決めた瞬間だった。
少し離れたところから、その様子を見届けた外交官は、
軽く微笑むとその場を立去るのだった－。
その後、中国で芸人ゴリラはチャイチャイとの間に
子供を生んで「ゴリラ」として幸せに暮らしていた。
日本－。
一人の男性が、車に乗せられどこかへ連れて行かれるところだ。
男性「そんなに高額のアルバイトがあるんですか？」
その横に座る、あの外交官はこう言った。
「ああ･･･君の口が固かったならね」
「（喜んで）どんな仕事なんですか！」
「いや･･･今度来日するチベット緑サルの、
影武者になって欲しいんだよ」
外交官は軽くニヤリとしたが
横の男性はそのことに気づかなかった。
◇2006年 世にも奇妙な物語 聖夜の特別編 「ゴリラ」より
キャスト 坂東八十助、勝俣州和