男「暑いね~イヤだね~」スタスタ…
男「田舎で緑いっぱいでも暑いもんは暑い…」スタスタ…
男「ん…?あれは…?」
遠く広がる田園の畦道にポツリと人影。
蜃気楼でぼやけた視界の先、おそらく麦わら帽子を被った白いワンピースの女の人が1人佇んでいるのが見えた。
男「他に農作業してる人もいないし…農作業のカッコでもないよなぁ…」
男「夏休みで都会の子がきてるのかな…」
男「にしても…なんか絵になるな…」ジ~ッ
男はしばらく彼女を眺めていた。
彼女は男に背を向けたまま、じっと遠くを見ているようだ…
ワンピースが風になびいている。
涼しげに佇む彼女を眺めているだけで、時の流れが止まったかのように、ジリジリと照りつける太陽、うるさく鳴く蝉の声、汗ばんで体に張り付く服の不快感…
男のそれらを忘れさせた。
男「…声…かけてみようかな…」ボーッ
男「ちょっと近づいてみよ…ん?なんだ…?」
今まで佇んでいた女だったが少しづつ動きを見せた。
男「あっ…どっか行っちゃうのかな…。」
それにしては移動する様子もなく女は、その場でユラユラと左右に揺れ動き始めた…。
男「…何してるんだろう…。」
男はまたしばらく女を見続ける。女は次第に動きを大きくしていく。
男「蜃気楼のせいか…?んなわけ…あっ…暑さのせいで立ちくらみか!!助けないと!!」バッ
男「田んぼに落ちたら大変…」タッタッタッ
タッタッタ…
男「お~い!!大丈夫か~?」タッタッタ
女「…?」ピクッ
男「(ヤバいっ…めっちゃクネクネしてる…倒れちまうよ…白いワンピース台無しになっちまうよ…)」
男「とりゃっ」ガバッ…ガシッ!
女「…!!」ビクッ
女が倒れないよう、男が後ろから女を抱きしめ支える。
男「大丈夫ですか?」
女「いや…なんで…あなた正気?」
男「あっすいません…立ちくらみだと思ったんで助けにきたんですけど、勘違いでしたか…」オロオロ
女「えっ…いや…そうじゃなくて…なんで正気でいられるの?」
男「あっ…抱きしめてしまってすいません…突然女の人抱きしめといて正気の沙汰じゃないですよね…でも違うんです、とっさのことで、下心とかあったわけじゃ…あっでも、お綺麗ですよ!!」オロオロ
女「いや…そうじゃなくて…コレです…コレ…」クネクネクネクネ
男「あっ…」
女「(フフフッ、こんな間近で私の姿を見たなら発狂通り越して即死ものね…)」
男「あっ…あっ…」ワナワナ
女「フフフッ」ニヤリ
<続く>

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