メリーさんの電話 「俺の名はメリー。今貴様の後ろにいる」 最終回 | Let's easily go!気楽に☆行こう!

Let's easily go!気楽に☆行こう!

映画、写真、B級グルメ、格闘技、そして少しばかり日常を語る雑記帳です。


メリー「人間の感情は移ろいやすい」

メリー「何年後か、もういっそ死んだほうがマシだと思うかもしれないだろう」

少女「……」

メリー「俺は悪霊だ。貴様が読んでいた本にあったようにな」

少女「見てたんですか」

メリー「透明化も霊の特権だ」

メリー「……今日俺がいなかったのも、その為だ」

少女「え……?」

メリー「俺は、貴様との契約を破棄する」








少女「それって」ビク…

メリー「安心しろ、貴様を殺すわけではない」

メリー「殺して帰るならさっさとやっている」

少女「……じゃあ……」

メリー「契約破棄の一度や二度、」

少女「ま、待ってくださいよっ!」

メリー「……」

少女「そ、それじゃあ、メリーさんが今日いなかったのは、

私を殺さずに帰るためなんですか……?」

メリー「そういうことだ」

少女「っなんで」

メリー「言いださせないつもりだった、貴様に」

少女「……?」グスッ

メリー「さっきのような願いを、だ」

メリー「そもそも、ここに戻ってくるつもりもなかった」

少女「もしかして……」

メリー「ああ、既に契約は破棄された」

メリー「もう貴様と俺の間には、何もない」

少女「……」

メリー「ただの悪霊と人間だ」

少女「そんな……」ポロポロ

メリー「なぜ泣く。貴様にとっては都合がいいはずだろう」

少女「っ……勝手です、メリーさん……」

メリー「別れを告げにきたやっただけでもありがたいと思え」

少女「う、うっ、ひ、く……」グスッ

メリー「この泣き虫が……」

スッ

少女「んっ、――――!」

メリー「――……、は」

少女「メ、リー……さん」ポロポロ

メリー「……さようなら、少女」

少女「……」

少女「……メリーさん」

少女「……」

少女「……メリー、さん」

少女「……」

少女「……」

少女「……」

少女「…………」ポロッ

少女「うっ、ひ、っく……」ポロ、ポロ…

少女「う、あ、うあああん……うああああ……!!」



―――
―…



――数日後

母「少女ちゃん、朝ごはんは?」

少女「いらない……」

少女「いってきます」

ガチャ

少女「……」

少女(あれから、結局メリーさん、姿現さなかった)

少女(もう一度、と思って電話してみたけど、繋がらなかったし……)

少女「……」

少女「当然だよね、」

少女「もう、あの人とは何の関わりも繋がりもないんだから」

少女「……」

少女「……」グスッ

少女(自分で言って悲しくなってどうするの……)





――学校

キーンコーン…
 カーンコーン…

同級生「」ワイワイ

少女「……」

少女(学校なんて、楽しくない)

少女(勉強は好きだけど、同級生たちが何か話してるだけでビクビクする)

少女(陰口叩かれてるんじゃないかって、怖くて仕方ない)

少女(……メリーさんがいてくれたときは……)

メリー『おい少女、今からあの教師のカツラをずらすぞ』

少女『!? ちょっ、ダメですよメリーさん!!』ヒソヒソ

少女(馬鹿なこともしてたけど……)クス

少女(少しだけ、周りのことが気にならなくなった)





――トイレ

ジャー…
パシャパシャ
キュッ、キュッ

少女(まだ目、ちょっと腫れてるなあ)グシグシ

少女「……」ジッ


メリー『――だいたい、貴様は何に怯えている?』

少女『だ、だって、私暗くて引っ込み思案だし』

少女『友達もあんまりいないし、だから周りも……』

メリー『それは貴様のせいだろう』フゥ

少女『そ、そんな……』

少女『そう、ですけど……』グスッ

メリー『変わればいい』



少女「……」

メリー『まずは髪を降ろすことだな』

少女『え!? で、でも私、癖っ毛だし……』


少女「……」フサッ


メリー『降ろしたほうが似合う』


少女「……本当、ですよね。メリーさん?」ニコ







――教室

ガラッ

同級生「」ザワッ…

少女「……」ビクビク

少女(う、うわ、やっぱり視線が……)

少女(みっ、みんながこっち見てるよ……)ジワ

少女(もうすぐ授業始まるし、とにかく、席に……)ガタッ

同級生A「委員長、そんなに髪長かったんだ」

少女「……へ?」

同級生B「なんか髪降ろした少女ちゃんって斬新ー」

同級生C「そっちのほうが似合ってるよ!」

少女「そ、そうかな。ありがとう……///」

少女「」チラッ

少女(他の人も、一瞬見ただけで全然気にしてないみたい……)


教師「よし、授業はじめるぞー」

少女(怖くない……)

少女(メリーさん、私、ちょっと勇気出せましたよ)

教師「先週やったとこの復習だが――……」

少女(……会いたいな……)



―――
―…






――放課後

少女「……」ソーッ

少女(よし、図書室には誰もいないっ)

少女(あれから、あの人たち私にちょっかいださなくなったよなあ……)

少女(よっぽどメリーさんが怖かったんだね)アハハ…

少女「よしっ、委員会の仕事終わらせちゃおう」

カリカリ

カリカリ

少女「……」

カリカリ

カリ…カリ…

少女「……」ウト、ウト

少女(や、やばい、なんか、眠たい……)

少女(最近あんまり寝てなかったからか、な……)カリ…

少女「……すぅ、すぅ……」



プルルルルッ…

プルルルルッ…

ガチャ

ザー…、『俺の名はメリー』ザッ、

ザザ『今、学校の前にいる』


少女(――え?)


ブツッ

ツー、ツー…


――…

少女(っ!!)ガバッ

少女「ゆ、夢……?」


少女(今の……)

プルルルルッ

少女(っ、!!)ビクッ

プルルルルッ

少女(……)


メリー『さようなら、少女』

メリー『だが、もし――』


ガチャ

ザザ『俺の名はメリー、今靴箱にいる』ザー…

ブツッ

少女「はい……」


『もし、俺から電話があったときは』


メリー『それが最後だ』


プルルルルッ

ガチャ

少女「もしもし」

ザザ…『俺はメリー、今一階にいる』ザッ

ブツッ

少女「……」


メリー『貴様が決めろ』


ガチャ

ザザ…『俺はメリー、今、二階にいる』ザー…

ブツッ

少女(あと一階……)


メリー『後悔したくないなら、振り向くな』


少女(メリーさんのばか)

少女(その言い方はずるいですよ……)

プルルルルッ

ガチャ

ザー…『俺はメリー、今三階にいる』ザザッ

ブツッ


少女(はやく、はやく)

プルルルルッ…

ガチャ

少女「もしもし」

ザザッ『俺はメリー、今……図書室の前にいる』ザー…

少女「はい……はい」ジワッ

ブツッ

少女「……」ドクン、ドクン



少女「はあっ……」



少女「……」



少女「……あ、あれ?」



プルルルルッ

プルルルルッ


少女(ま、まさかメリーさん、直前になって、とか……)

少女(いやいや、最後の最後で電話かけないとか、

メリーとしてやっちゃいけないでしょっ)

シーン…

少女(……)



少女(……)

…プルル

少女「はいっ!」

ザー…『……』ザザ

少女「……メリーさん、」



メリー「俺の名はメリー、今貴様の後ろにいるぞ」


少女「……っ、」ポロッ

メリー「……」

クルリ

少女「わ、私は少女っ……。少女ですよっ、メリーさん」

メリー「……貴様の願いは」

少女「メリーさんとっ」

少女「一緒に、いることです」ボロボロ

メリー「……いいだろう」

メリー「貴様のつまらない人生に付き合ってやる」

少女「……はいっ!」











Let's easily go!気楽に☆行こう!





メリーさんの電話「俺の名はメリー。今貴様の後ろにいる」 ――おわり


.