ささやかで平凡な人生を望む男が、
ある日、突然手に入れた"壁を通り抜けられる体"。
愛する彼女と僕の間の壁も、通り抜けられるのだろうか?
花の都パリに咲いた、人生讃歌と切ない恋の物語。
フランスの国民的作家マルセル・エイメの原作小説。
まだ戦争の記憶が新しい1947年のパリ。
真面目さだけが取り柄の独身男・デュティユルは、
役所のクレーム処理係として平凡な毎日を送っていました。
そんなある日の夕方のこと。
一日中タイプライターに向かい、馬鹿丁寧に対応の手紙を書く彼を、
要領のいい同僚たちは小馬鹿にして定時きっかりに職場を後にします。
けれど、なんの称賛も冒険もない代わりに静かでのんびりしたこの暮らしを、
デュティユルはそれなりに気に入っていました。
一人暮らすモンマルトルのアパルトマンでは、趣味の切手集めと
バラの手入れが待っています。
仕事を終え、老娼婦や絵描き、新聞売りの少年とすれ違いながら
部屋の前へたどり着いたときには、あたりはすっかり黄昏時になっていました。
ちょうどその時です。突然の停電で、廊下が暗闇に覆われてしまいます。
いつものことだと、うんざりするデュティユル。
しかし、驚いたのは明りが点いたときでした。
なぜか扉の向こう側、部屋の中に自分が立っていたのです。
混乱している間に再び停電が起き、そして明りが点くと、
今度はもとの廊下に立っていました。
これは一体、どうしたというのでしょう!?
デュティユルは、気が狂ったのだと思い込んで精神科医のもとに駆け込みます。
しかし、壁を抜けて入ってきた彼を見たアル中の医者は、
さして驚きもせずに長々しい病名を告げ、
「壁を通り抜けることに疲れたら、この薬を飲めばいい」と薬を差し出します。
そして、「女にだけは気をつけろ。本気で惚れたら壁から抜けられなくなる」
と忠告するのでした。
ささやかな人生に戻りたいと願うデュティユルは、
すべてを忘れるために薬も飲まず、
今まで通り役人として生きることを決意します。
ところが、上司に罵倒された腹いせに、壁から頭を突き出して
その上司を錯乱させることに成功すると、心の中に
"この力を試してみたい"という欲望が芽生え始めてしまうのです。
帰り道、空腹だったこともあり、デュティユルはパン屋からパンを盗みます。
しかし、実際にパンを手にすると食欲はなくなり、貧しい老人に与えてしまいます。
「新しい自分にできることはなんだろう?」
考えた末、次に向かった先は宝石店でした。
ポケットに宝石を詰め込むと、今度は老娼婦に首飾りを掛けてやり、
「僕は怪盗ガルーガルーだ」と英雄気分にひたるデュティユル。
その思惑通り、新聞や街の人々は彼の噂でもちきりになります。
けれど、彼の心はまだ満たされません。
密かに想いを寄せる美しい人妻・イザベルの存在があったからです。
冷酷で傲慢な検事の夫になかば幽閉されている彼女は、
"壁抜け男"に憧れにも似た恋心を抱いていました。
自分を知ってもらいたい、振り向いて欲しい――デュティユルは、
彼女と自分を隔てる壁を通り抜け、彼女を救い出すために、
自分が"壁抜け男"であることを公表しようと決心します。
そして、銀行の貸金庫に忍び込むと、駆けつけた二人の警官に、
「逮捕して手柄にする代わりにマスコミを呼んで欲しい」
と、取引を持ちかけるのでした。
小粋なミュージカル『壁抜け男』は、東京・浜松町の
劇団四季専用劇場にて上演しております。
さて、
この「壁抜け男」。
ちょっとコミカルな味付けのミュージカルに
仕上がっていますが、この「壁を通り抜ける男」という
シチュエーションをホラーで再現するとどうなるのか!?
お待ちどうさまでした。
今回の記事の本題はここから!
「壁を通り抜ける男」を題材にしたサスペンス・ドラマがあったのです。
円谷プロダクションが制作し、TBS系で1968年(昭和43年)
9月15日から1969年(昭和44年)3月9日まで
毎週日曜日19:00 - 19:30に放送された「特撮テレビドラマ」。
それが「怪奇大作戦」!
そしてその第1回放送がタイトルもスバリ「壁ぬけ男」でした。
「壁を通り抜ける男」がホラー自立てになるとどうなるのか。
その貴重な動画をご覧ください。
動画は張り付けられなかったので、以下のアドレスから
見に行ってください。
それでは25分間、あなたを怪奇な世界にお連れします。
http://www.pideo.net/video/56/8b2cc521bb62bc74/
僕(hiko)はこの怪奇大作戦「壁ぬけ男」の巻が大好きだったりします♪
◇怪奇大作戦~プロモーション映像
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