栃木県足利市で90年、当時4歳の女児が殺害された「足利事件」で無期懲役が確定し、服役中だった今月4日に釈放された菅家利和さん(62)の再審請求の即時抗告審で、東京高裁(矢村宏裁判長)は23日、再審の開始を決定した。高裁は、「(菅家さんが)犯人であると認めるのには合理的な疑いが生じている」と述べた。
再審は、確定した無期懲役を言い渡した宇都宮地裁で開かれる。検察側は菅家さんの無罪判決を求めるとみられる。
検察が無罪を求めるという話もおかしなものだが、弁護団が求めて、検察が追認するということだろう。
これで、晴れて無罪を勝ち取ることができる。後は国賠法に訴えるだけだ。
しかし、弁護側は、当時のDNA型鑑定や捜査のあり方の問題点を再審請求の中で明らかにすべきだとして、当時の鑑定の担当者らの証人尋問を求めていた。これについては、検察側が鑑定の誤りを認め、菅家さんも釈放されているため矢村裁判長はこれらを必要無しと判断、菅家さんの名誉回復を最優先し、速やかな再審開始を選択した。
東京高裁は昨年12月、弁護側が求めていた菅家さんの逮捕・有罪確定の決め手とされた捜査時のDNA型鑑定の再鑑定実施を認めた。検察・弁護側それぞれが推薦、高裁が嘱託した2人の鑑定医は5月、いずれも菅家さんと女児の下着に付着した体液のDNA型が一致しないと結論付けた。
異例中の異例なのだが、東京高検は今月4日に検察側推薦の鑑定医の鑑定結果を「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」と認め、再審開始に反対しないとする意見書を高裁に提出。同時に刑の執行停止を認め、菅家さんは約17年半ぶりに釈放された。
決定に異議がある場合は、決定送達翌日から5日以内に最高裁に対して特別抗告ができる。高検は再審開始を認めているため、異議を申し立てないが、菅家さんの弁護団は「再審請求の場で菅家さんが有罪とされた経緯を解明するべきだ」としており、特別抗告を検討している。