今年の夏、又中学校の教科書採択の季節が、やってくる。2001年、2005年、2007年と続けて都立一貫校や特別支援学校に採択されてきたのが、過去の戦争の過ちを指摘することを自虐史観だと言い募って、日本の負の歴史ときちんと向き合おうとしない『新しい歴史教科書をつくる会』編の扶桑社版の歴史教科書と、公民教科書でした。
時系列もめちゃくちゃで、間違いの箇所も数多く指摘され、これが検定合格本なのかといえる代物でした。でも自治体の長の政治的介入の下で、愛媛県の中高一貫校や杉並区にも採択されてきたのです。
こんなでたらめな教科書を採択させてはいけないと思います。今年はほとんど同じ内容の教科書が自由社から発行され採択本に加わります。『つくる会』の内紛・分裂によりつくる会残留派が、自由社から発行しようとした結果でした。今の採択率・利用数ではほとんど採算ベースに乗りませんから、扶桑社も都合が良かったと思いますが、扶桑社版の教科書も引っ込めようとしていません。
日本書籍という発行元が一番歴史の真実にきちんと向き合っていたと思うのですが、産経グループの一大キャンペーンのおかげで、自治体が日本書籍の教科書を採択することをやめたところがたくさん出て、経営危機になり、会社を解散するしかなくなってしまいました。今は、日本書籍新社が受け継いでいますが。
義務教育は無償であることから、教科書の採用は、すべて税金で賄われることになっています。ですから教科書会社にはいろんな縛りがあって、検定合格前の内容の暴露、事前宣伝はやってはいけないことになっていましたが、扶桑社はその規定違反をやっていました。営業マンが、私立中学や公立の中学校の先生方を訪問していたのです。これなど検定を司る当時の文部省、今の文部科学省が、教科書採択から排除すべきだったと思います。
子ども達に日本の未来を託すためにもきちんと日本の歴史と向き合える大人になってもらうためにも、『つくる会』教科書の採択は、ゼロ、もしくは限りなくゼロに押さえなくてはなりません。
早く教科書市場から出て行ってもらいましょう!