結局、油圧クラッチ化は思った通りにはなりませんでした。
改めて原理を考えてみます。
油圧シリンダーはパスカルの原理を利用したものとなります。
「密閉容器中の流体は、その容器の形に関係なくある一点に受けた単位面積当りの圧力を、そのままの強さで流体の他のすべての部分に伝える。」
というのがパスカルの原理ですが、ようするに液体で満たされた筒に力を加えるとそのままの力が伝達されるということです。
今回行ったクラッチの油圧化ですが、自分の中ではこれを利用してレバーを軽くできるのではないかと思っていました。
しかし、考えればすぐ分かるのですが、以下の図のように小さな力で重たいものを動かすには入力と出力とで力を受ける面積比を変えなくてはなりません。
ですが、そうすると問題があります。
面積比を変えるということは、入力のストロークより出力のストロークが小さくなるということです。
つまり
ストロークが足らず、クラッチが切れません。
ということは、油圧化してもクラッチを切るためにはワイヤーの時と同じだけのストロークが必要ということです。
すなわち
入力のピストン径と出力のピストン径が同じでないと同じストローク量を確保できない。
よって
液体とワイヤーを置き換えただけで必要な力は変わらない。
という結論になります。
これは取り掛かる前に気付くことですね。
単純な物理の法則。
流体静力学における基本原理。
お前は本当に大卒か?
ここで「じゃあ逆に入力の径を大きくして出力の径を小さくすれば?」となりますが、レバーのストローク量が小さくなるだけで必要な力はむしろ大きくなります。
「ならばクラッチアームを短くしてストローク量を少なくしてみては?」となりますが、クラッチアームはテコの原理を使っていますので、短くすると動かすのに必要な力の量が増します。
抵抗は無意味だ。
やはりまずはワイヤーチューブ内のグリスアップですね。
それでも重いなら、こちらのようなライトクラッチキットを付けるかですね。
まぁ年内は油圧で運用してみたいと思います。
良い暇つぶしでした。